王毅外相の日韓訪問の意図は? バイデン政権を警戒する中国

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◆トランプ氏よりバイデン氏の方が厄介か
 バイデン政権になると、対中融和路線に転じるとの声も聞かれる。しかし、中国への厳しい姿勢はトランプ政権後も続くとの見方が大筋だ。要は、その厳しい姿勢が実際どの程度なのかが問題の核心であるのだが、それを予想することは難しい。

 だが、トランプ政権下の貿易戦争時代も、アジアやアフリカ、中南米などの各国に多額の支援・投資を行い、独自の経済圏を発展させてきた中国からすると、自由や民主主義、市場経済などの価値観を多国間協力で押し進めようとするバイデン政権の方が厄介な存在かもしれない。バイデン政権下ではトランプ政権下の懲罰的ともいえる関税制裁の連発はなくなるが(トランプ政権によって発動された制裁が解除されるかどうかは別問題)、中国としては、一帯一路構想やAIIBへの圧力が高まったり、パキスタンやミャンマー、ラオスなど中国が独自にパイプを作ってきた国々との間で亀裂が入ったりすることは避けたいだろう。

 バイデン氏なら、中国による債務帝国主義的なやり方に口を挟んでくる可能性もある。トランプ大統領はそういった中国のやり方や人権問題、他国の事情について米国の利益が絡まないと関心・興味を示してこなかったが、そこがバイデン氏と違うところでもある。中国としては、また違う視点から中国に注文をつけてくる相手が現れたとでも思っているだろうか。

Text by 和田大樹