印中対立はエスカレートの一途か 揺るがない「自立したインド」と「戦狼外交」

Altaf Qadri / AP Photo

 6月15日にインド北部ラダックの国境地帯で発生した印中両軍による衝突は、両国関係を大きく揺るがす大事件となった。新型コロナウイルスの感染拡大により中国依存の危うさが浮き彫りになったことで「脱中国」へと舵を切ったインドだが、衝突後は矢継ぎ早に中国への対抗措置を打ち出すようになっている。中国の「戦狼外交」にも変化が見られないなか、両国の対立はますますエスカレートしそうな気配だ。

◆中国への制裁? インドがエアコンの輸入を全面禁止
 印中両軍の衝突以来、インドは中国製品の国内への流入を精査し、抑制する政策を立てている。同月に車両用タイヤ、7月にテレビの輸入に制限をかけ、先日10月15日には、冷媒を採用したエアコンの輸入を全面的に禁止した。

 これらの動きは同国の製造業振興政策「メイク・イン・インディア(Make in India)」、5月に発表された新しいイニシアチブ「自立したインド(Atmanirbhar Bharat)」に基づいたものであり、表向きには国内製造の促進、コロナ禍で疲弊した国内企業の救済を目的としている。しかしながら、業界関係者の意見やメディアの報道では「中国に対する敵対姿勢」と見る向きが強い。

 それもそのはず、インド政府はラダックでの衝突発生後、中国を狙い撃ちにしたさまざまな対抗策を打ち出してきたからだ。安全保障上の理由による中国アプリの禁止、政府調達における近隣諸国(インドとの国境を接する国々が対象だが、実質上は中国を標的にしている)からの入札参加資格の厳格化、政府主導の高速道路プロジェクトからの中国企業排除、中国企業からの4G通信機器の調達制限、中国の公的教育機関「孔子学院・課堂」の調査など、数えあげればキリがない。

Text by 飯塚竜二

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