米脱退表明、危機に直面するWHO 資金問題、ゲイツ氏の財団の影響力増への懸念も

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 世界保健機関(WHO)は創設以来世界の人々の健康のために活動し、天然痘の根絶から途上国の衛生状態改善まで、数々の成果をあげてきた。しかし、新型コロナ禍で批判が相次いでいる。アメリカのトランプ大統領は、WHOの新型コロナウイルス対応が中国寄りだと非難し、資金提供を取りやめ、「関係を断つ」と発言。世界が協力して支えてきたWHOは危機に直面している。

◆複雑な官僚機構 アメリカの資金に大きく依存
 WHOは1948年に国連によって設立された。本部をスイスのジュネーブに置き、現在194の国と地域が加盟している。世界を6つに分け、それぞれを管轄する地域事務局があり、さらに150ヶ国に国事務所が置かれている。ブルームバーグは、その規模からも官僚的で意見の統一も難しい組織だと解説する。

 このような大規模組織を運営するには多額の資金が必要だ。WHOの活動を支えるのは、加盟国が支払う分担金と、加盟国やその他の団体が拠出する寄付金だが、実は30年前から分担金の割合は減少しており、いまでは全体の20%ほどだとされる。WHOの最大の出資者はアメリカで、分担金、寄付金ともに最大となっている。

Text by 山川 真智子