一帯一路の債務、返済できない国続出 新型コロナで中国の計画に暗雲
中国は、2013年に習主席が提唱した「一帯一路」構想のもと、参加国の鉄道や港湾などのインフラプロジェクトに多額の融資をしている。参加138ヶ国のうちのほとんどが途上国で、新型コロナウイルスの感染拡大で、債務返済に関し救済を求める国が続出している。中国を中心にアジアとヨーロッパを結ぶ経済圏を作るという壮大な計画に狂いが出始めている。
◆大盤振る舞いのつけ? 返済できない途上国
ワシントンを拠点とするコンサルティング会社、RWRアドバイザリーによれば、中国の金融機関が「一帯一路」プロジェクトに貸し出した額は、4610億ドル(約49兆円)と推定され、世界最大の開発構想になっている。中国に救済を求めている国の多くはアフリカ諸国と見られる(フィナンシャル・タイムズ紙、FT)。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)に寄稿した元外交官で戦略アドバイザリー企業CEOのブライアン・P・クライン氏によれば、コロナ危機の震源地ということで中国批判をする国もあり、救済を求める声は高まっていた。
G20は、4月に低所得国の二国間融資の債務返済を今年末まで凍結することに合意しており、中国の政策銀行もその対象となっている。しかし、中国の政策アドバイザーや銀行家によれば、中国政府は債務国に対し利払いの一時停止を含むさまざまな答えを用意しているが、債務免除には反対だという。多くの国は融資条件の再交渉を求めているが、中国政府系金融機関、国家開発銀行の研究員は、新たな契約には時間もかかり、いまの状況ではそのための渡航もできないと述べる。「一帯一路」の融資は海外援助ではなく、元金と適度な利息の回収は少なくとも必要だと説明している(FT)。