北朝鮮崩壊なら各国はどう動くのか?

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◆アメリカ
 北朝鮮の政権が崩壊した場合、OPLAN 5029とよばれる米韓の軍事作戦計画が発動するとみられている。

 北朝鮮の政権が機能不全に陥った場合、または同国の核兵器管理が不透明になった場合、この計画では国境と核兵器の安全を確保するとされている。

「OPLANの発動はいつか、発動を促す兆候は何か、というのはとても難しい問題だ。『国の安全を確保する』作戦というのは、その国からすれば『侵攻作戦』とみることもできるからだ。その場合には大混乱に陥る可能性がある」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)で北朝鮮の核問題を専門としているヴィピン・ナラング教授は話している。

 アメリカの最大の懸念は、北朝鮮の武器庫にある核兵器が使用、盗用、売却されることである。

 ハワイにあるシンクタンク、パシフィックフォーラムのラルフ・コッサ名誉理事長は「北朝鮮の核兵器がどこにあるかを知っている範囲においてだが、アメリカがこの地に立ち入り、兵器を確保・解除する計画がなければ、我々は自分たちの仕事をしていないことになる」とした上で、「その場合、アメリカや韓国が北朝鮮の権力闘争に介入する意味はほとんどない」と語る。

 体制が崩壊したときにアメリカが失態を演じると、その代償はとてつもなく大きい。なかでも、中国人民解放軍が北朝鮮に展開し、莫大な軍事・人道支援を供与しているときに、韓国軍とうまく調整を図ることができるかという問題がある。

 マイク・ポンペオ国務長官は、金正恩氏の健康状態についての質問に対し「同氏の指導力に関して北朝鮮内部で何が起ころうとも、アメリカは引き続き完全な非核化を目指す」とコメントしている。

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Text by AP