コロナ危機を利用か 中国、南シナ海での動きを活発化

Li Gang / Xinhua via AP, File

 もっとも、アメリカにこのような意思があるのかを疑う識者もいる。シンガポール東南アジア学研究所(ISEAS)のユソフ・イシャク研究所のイアン・ストーレイ氏は、今回の米軍艦の南シナ海派遣に対し、ただ存在を知らせるためなのか、尾行して行動を止めさせるつもりなのか意図がわからないとNYTに述べる。近年米軍は紛争海域に姿を現してもすぐに去るのが常で、中国との戦いは実質地域の国々任せであることを東南アジア諸国は心配しているということだ。

 中国が医療用品や知見を東南アジア諸国に提供するのとは対照的に、米航空母艦セオドア・ルーズベルトやほかの太平洋艦隊の船内で新型コロナウイルスの集団感染が起きている。ストーレイ氏は、トランプ大統領が同盟国を安心させようとしても米海軍への世論は芳しくなく、すでにウイルスを封じ込めて優秀な統治システムを披露した中国のほうを東南アジア諸国は評価しそうだと述べている(NYT)。

次のページ 中国が4日以内に尖閣奪取……米シンクタンクが描くシナリオ




Text by 山川 真智子