EU離脱した英国、インド太平洋にどう関与するのか?
◆インド太平洋への政治的コミットメントにも言及
また、今回の英外相の歴訪で筆者が強く関心を持っているのが、英国が政治的にどの程度インド太平洋構想に関与するかである。
政治価値観的に、英国とインド太平洋(日本や米国、オーストラリアやインド)は自由、民主主義の価値観を共有しており、主要国である英国が深く関与する意義は大きい。
英国はインド洋に英領インド洋地域として、チャゴス諸島やアルダブラ諸島、ディエゴガルシア島など海外領土を有している。フランスが南太平洋にニューカレドニア、ウォリス・フツナ、仏領ポリネシアなどの領土を有し、同地域への影響力を高めている中国に対して強い懸念を示すように、英国も警戒感を高めている。だが、実際問題、米中が覇権を争う最前線地域において、英仏の軍事的プレゼンスは限定的なものであり、日本や米国との協力のなかで初めて効果を発する。また、英国民がどの程度インド太平洋へのコミットメントに関心があり、賛同するかは未知数で、筆者の想像するところでは、ほとんどの国民はテロ対策や経済改革などを重視しており、遠いインド太平洋地域への関心はかなり薄いと思われる。よって、たとえば、移民・難民やテロなどの問題が再び大きな問題となれば、インド太平洋の優先順位は低下するだろう。
◆日本の選択肢は?
このようななか、日本は英国とどう向き合っていくべきだろうか。まず、英国をこの地域に関与させ続けるための粘り強い外交が日本にはほしいところだ。EUから離脱した英国も、新たな仲間作りを模索しているはずだ。日本としては、このタイミングを逃すべきではなく、新たな英国と政治、経済両面からの関係を強化することが重要となる。また、安全保障的には、近年自衛隊がフランス軍との共同訓練や情報共有を強化しているように、イギリス軍との関係もいっそう強化することが求められる。
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