ウイグル弾圧で中国は自らの首を絞めるか

Ng Han Guan / AP Photo

◆北京にとっての新疆ウイグル自治区
 なぜ、中国政府はここまで徹底した監視を続けるのだろうか。それには少なくとも二つの理由が思い浮かぶ。一つは、経済的な理由だ。新疆ウイグル自治区は地理的に中央アジアへの入り口に位置し、陸のシルクロードを発展させるにあたり、そこは中国と欧州を繋ぐ要衝となる。よって、新疆ウイグル自治区の安定は北京にとって欠かせない。

 また、政治上の問題もあろう。長年、北京は新疆ウイグル自治区の過激派分子の動きを懸念しているが、今年に入ってからの香港(また台湾)の動きが新疆ウイグル自治区のそれと連鎖することを避けたい。新疆ウイグルと香港は文化も異なり、距離も離れているが、北京からの自由を求める動きは変わらない。北京は新疆ウイグル自治区の問題が国際的にも国内的にも大きくなることを避けたいと思っている。

 米国では、トランプ大統領が2日に香港人権法案に署名し、米議会下院が3日、ウイグル人権法案を可決するなど、米中の間でも緊張がいっそう高まっている。

◆自滅の道を押し進める習近平政権?
 一方、米国のシンクタンクは15日、新疆ウイグル自治区で実用化しているように、中国が人工知能を駆使した監視技術を世界60ヶ国以上に輸出していると発表した。それが、北京にとって中長期的な利益になるとは到底思えない。北京と同じように、イスラム過激派の問題を抱えている国家(イラクやシリア、サウジアラビアやエジプト、パキスタンなど)であれば、最新鋭の技術を安価な値段で購入できるということで、北京にとっては優良顧客となるだろう。しかし、そういった中国の影響力拡大は、よりいっそうイスラム過激派の標的となりかねない。

 また、秋以降のイラクやイランのデモのように、若者の敵対心が中国に向かう恐れもある。すでに、アジアやアフリカでは一帯一路に対する抵抗や反発の声は聞かれ、現地の中国権益や中国人が襲われる事件も相次いでいる。行き過ぎたウイグル政策から得られる実りは何もない。

Text by 和田大樹

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