ウイグル弾圧で中国は自らの首を絞めるか

Ng Han Guan / AP Photo

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は11月下旬、新疆ウイグル自治区における人権状況に関する20ページあまりの内部文書を公開した。それは筆者を驚かせるというより、ある程度予想できたものだった。

◆非人道的な扱いを受けるウイグル族
 同文書によると、中国政府は、携帯電話の利用記録などの個人情報をもとにウイグル族一人一人に対する監視体制を構築し、収容施設では、中国語の習得や中国語による思想教育が義務づけられ、脱走を防ぐために食事や入浴、睡眠中も監視が徹底されているという。そのため、収容施設のあらゆる所に最新鋭の監視カメラが設置され、少なくとも1年以上施設で教育を受けないと出所できないとされる。

 そういった環境下では、突然兄弟や配偶者が当局に連行され、もしく行方不明となり、まったく連絡が取れないというケースも多く、日本や米国など外国にいるウイグル人がその国の政府や国際人権団体に近づくと、新疆ウイグル自治区にいる家族や親族の身の安全が危うくなることもあるだろう。

Text by 和田大樹