習近平政権はどのように台湾統一を進めようとしているのか

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◆台湾に「外交」をできなくさせる
 おそらく、北京のなかには、武力的な手段を使うと国際社会の非難を買うことから、台湾に「外交」をできなくさせようとする(外交の世界から葬り去る)狙いがある。

 北京にとって、残すのはマーシャル諸島、ツバル、パラオ、ナウルのみとなった。どの国も、北京や上海よりも経済規模が圧倒的に小さい国々だ。とくに、ツバルは人口1万人、ニウエは2000人ときわめて少なく、また地球温暖化による海面上昇という危機的問題を抱えており、外国からの早急な援助を必要としている。

 中国は、このような国々の対中経済依存度を高めることで圧力をかけ、「脱台湾」へ舵を切らせようとする思惑がある。
 
◆台湾と国交を持つ国がゼロの世界
 仮に、台湾と国交を持つ国がなくなったら、北京は台湾問題でどう主張してくるのだろうか。すぐにそういう状況が来るとは思わないが、「台湾と国交を持つ国は世界に存在しないのだから、国際法的にも台湾は国ではない」などと主張し、一国二制度をさらに強要してくるのかもしれない。現在の香港情勢を台湾に連想させるのは決して非現実的ではない。

Text by 和田大樹