習近平政権はどのように台湾統一を進めようとしているのか

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 10月1日、北京では中華人民共和国の建国70周年を記念する式典が大々的に催された。式典の席で、習近平氏は、「どのような勢力も偉大な祖国の地位を揺るがすことはできない」と、中国共産党の正当性を改めて内外にアピールした。

 国際社会から懸念の声が高まるなか、香港については、「今後も一国二制度を堅持し、香港の長期的な繁栄と安定を維持する」と主張し、台湾については、「両岸関係の平和的発展を進めていくが、祖国の完全統一を実現するための奮闘を続ける」とけん制した。また、監視下が進むウイグル自治区については、国際社会からの批判をかわすためか、一部のウイグル族が祝賀パレードに参加していたという。

 おそらく、ウイグルやチベットの問題について、北京のなかにはとりあえずは「現状維持のままでいい」との思惑がある一方、台湾問題については、現在の香港情勢からさまざまなシナリオを中長期的に考えているのではなかろうか。しかし、中国はできるところから「台湾潰し」を着実に進めている。

◆キリバスとソロモン諸島が台湾と国交断交
 その一つの舞台が南太平洋である。南太平洋の島国であるキリバスとソロモン諸島が9月下旬、相次いで台湾との外交断絶を発表し、新たに中国と国交を樹立すると発表した。

 南太平洋は、世界でも稀に見る中台による国交獲得競争の最前線だ。これまで、中国と国交があるのは、フィジー、サモア、パプアニューギニア、バヌアツ、ミクロネシア連邦、クック諸島、トンガ、ニウエの8ヶ国で、台湾と国交があるのはマーシャル諸島、ツバル、ソロモン諸島、パラオ、ナウル、キリバス共和国の6ヶ国だった。しかし、キリバスとソロモン諸島が中国に流れたことで、台湾と国交を持つのが4ヶ国にまで減少した。単純な考えだが、8:6と、10:4ではかなりイメージが違う。

Text by 和田大樹