因縁のトランプ氏とロンドン市長、「ファシスト」「負け犬」……激しさ増す応酬

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 6月3日より3日間に渡り、米大統領トランプ氏がイギリスを公式訪問した。今回は、トランプ氏にとって初めてとなる、滞在日程に女王の催す晩餐会などへの招待を含む「ステートビジット」(state visit)と呼ばれる栄誉ある国賓待遇の訪問であった。

 EU離脱の目処が立たずメイ首相が辞任を表明した直後というタイミングにメディアが注目するなか、氏がイギリスに上陸する直前、エアフォースワンから投稿したツイートが話題を集めた。

◆「ステートビジット」に際し激化した舌戦
 それは、「誰が見てもひどい仕事をしているロンドン市長のサディク・カーンは愚かにも、これから訪問する、イギリスにとってもっとも重要な同盟国である米国の大統領に対し無礼な態度をとっている。彼は私のことでなく、ロンドンの犯罪に注視すべき正真正銘の負け犬……」という、これから訪問するロンドンの市長を批判したもので、氏の発した「負け犬」というセンセーショナルな言葉がメディアに踊った。

 このツイートは、その前日カーン市長が英日曜紙オブザーバーに寄せた投稿を受けてのものと思われる。その内容は、トランプ氏は人種間の分断を招くような政策を進めており、与党党首選の候補者で分断化政策への同調が見込めるボリス・ジョンソンをサポートすることでイギリスの国政に干渉しようとしている、というもので、「イギリスは氏を盛大にもてなすべきでない」と結ばれている。タイトルにも使われているその言葉と、記述のなかの「20世紀のファシストのやり口」と弾劾する言葉が抽出され、多くのメディアで取り沙汰された。

 トランプ氏訪英に際し対談予定のないカーン市長は、さらに氏のツイートに応えるかのように、ガーディアン紙のウェブサイトにトランプ氏に呼びかけるビデオメッセージを投稿した。

 メッセージは、「トランプ大統領、ダイバーシティは弱点ではなく強みと考えるロンドン、そしてこの国とあなたとは価値観が異なります」という呼びかけから始まる。そして「この数十年をかけて進歩し、さらなる進歩が重要であるはずの女性の権利が、トランプ政権になって以来、後戻りさせられています」とし、アメリカのいくつかの州で女性の中絶を禁ずる法律が成立したことを非難。そしてビデオの最後には無言で画面に向かい「強い女性を恐れるのは弱い男だけ」という強いメッセージの書かれたフリップを掲げて見せた。

Text by Tamami Persson