混乱加速、軍事衝突も……米のイラン近海への空母派遣 トランプ政権の不安
◆イランとの混乱の沈静化を狙う
米政治紙のザ・ヒルは、今回の空母派遣が戦争へのうねりを加速するとの見方があることを認めた上で、むしろ混乱を回避する最良の方策だと論じている。空母派遣による圧力で、あるべき姿の外交が実現するのではないかという見方だ。ペルシャ湾に現在派遣されている米軍には、4つの意義(軍事活動の拠点機能、原油輸出の確保、イランによる攻撃の抑止、同盟国の保護)があると同紙は分析している。適正な規模の部隊を配備することで、これらに加え、イランへの外交上の圧力を期待できる。イランとトランプ政権は意地比べが続いており、硬直した状況の打破が求められている。
ボルトン大統領補佐官は「アメリカはイラン政権との戦争を望んでいるわけではない」と述べつつも、何かの攻撃があれば反応する準備は完全に整っていると警告を発している。英ガーディアン紙によると、アメリカはイラン軍に加え、精鋭部隊のイスラム革命防衛隊による代理攻撃を警戒している。さらに、欧米諸国がテロ組織に指定しているイスラーム聖戦がパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスと共同でミサイルの発射を行うなど、イラン正規軍以外による軍事行動の拡大が目立つ。空母派遣による圧力で、戦争への潜在的なリスクを回避したい狙いがアメリカにはあるものと見られる。