反捕鯨派にも問題があった……日本のIWC脱退、海外の見方に変化も

Katsushika Hokusai / Wikimedia Commons

◆食べなくても捕鯨擁護 反捕鯨が作り出した反「反捕鯨」
 30年間南極海での捕鯨に参加した船長は、調査捕鯨の許可を得て捕鯨をしても、「捕鯨は非人道的、また殺し方が残酷」などと批判を受けると述べる(WP)。そもそもクジラは賢く特別な生き物という前提の反捕鯨派に、「捕鯨は文化」「クジラは食べ物」という日本の主張は論外だった。西洋からは「残酷」「野蛮」という日本の捕鯨への批判が高まり、活動家たちが対立的な方法で日本の捕鯨を攻撃した。

 しかしこういったやり方が、むしろ日本の愛国主義的なグループの思うつぼとなったばかりか、問題から普通の日本人を遠ざけてしまったとWPは述べる。批判に対する反発が日本人の反「反捕鯨」につながっていると指摘し、世論調査でIWC脱退を肯定する人が多かったという事実を報じている。

 米公共ラジオ放送 PRIも同様の見方で、日本のIWC脱退の交渉に関わった森下丈二氏の「日本ではクジラ問題は異なる文化尊重の象徴だ。多くの日本人は、外から別の食文化を押し付けるのは間違いだと思っている」という言葉を引用している。立教大学兼任講師の佐久間淳子氏は、皮肉にもシーシェパードの活動が、日本の文化は間違っているという西洋人からのメッセージと日本人には感じられ、捕鯨支持を増加させたと述べる。同氏が行った調査では70%の日本人が捕鯨に賛成で、この数字は日本人のプライドを示すものだと説明している(同上)。

Text by 山川 真智子