米朝会談後に新たな動きを見せる北朝鮮 ミサイル発射の可能性も

Ahn Young-joon / AP Photo

◆会談後の北朝鮮の気になる動き
 米朝会談から2日後の3月2日、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)は、北朝鮮が北西部東倉里にある西海衛星発射場の長距離ミサイル施設を再建しているとする新たな衛生写真を公開した。また、CSISは6日、ミサイル発射台とエンジン燃焼実験台での再建作業が確認され、通常に稼働する状態に戻っていると発表した。また、米国のスティムソンセンターが運営する北朝鮮情報サイト『ノース38』も、これまでに同じような画像を公開し、同様の動きが見て取れるとした。

 このような動きに対して、トランプ大統領は事実なら失望するとの声明を発表し、ボルトン大統領補佐官は、非核化に前向きでなければさらなる制裁強化を検討するとの姿勢を示している。

◆今後の情勢と懸念
 まず、第2回会談直後の北朝鮮の動きは何を意味するのだろうか。10日現在、一部の米メディアは、北朝鮮がミサイル発射の準備をしている可能性があると報道した。北朝鮮のこの行動は、第2回会談への不満を示すものかもしれないが、米国を再び強く牽制する目的もあるだろう。

 しかし、北朝鮮を取り巻く現在の環境は以前と異なる。第2回会談の際、金正恩氏は核を廃棄する意思がなければここまで来ないだろうと言及した。米国も継続して話し合いを続けるとし、在韓米軍をめぐる情勢ではトーンを下げている。

 今後の行方を中長期的に見る上で一つ懸念されるのは、来年11月の米大統領選挙でトランプ氏が再選されるかどうかだ。北朝鮮をめぐる情勢は、トランプ政権になってから「最も緊張が高まり」、また「最も進展した」といえる。しかし、そこにあったのは米国大統領の「興味」もしくは「優先順位」という価値観だ。オバマ前大統領は、北朝鮮への興味、優先順位は決して高くなかった。

 よって、来年の大統領選の勝者がトランプ氏でなかったら、北朝鮮情勢はまた大きく変化するかもしれない。米朝首脳会談という枠組みが、以前の6ヶ国協議のような結末になることは決して望ましいことではない。来年の大統領選挙までに、何回の米朝会談が行われるかはわからない状況だ。しかし、今後の北朝鮮の出方が大きくその行方を左右することは確かだ。

Text by 和田大樹