米朝会談前にトーンダウンしたトランプ氏 北朝鮮ペースになれば日本孤立も

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 次に、中国の存在がある。現在の北朝鮮は、激しくなる米中対立を天秤にかけて利用する“天秤外交”を展開しているが、米国は中朝関係の行方を注意深く見ている。安全保障上、中国は、米国の影響力が北緯38度線を越えて中朝国境にまで北上することは絶対に避けたい。一方、米国としても中朝関係が急速に進み、中国の影響力が北緯38度線まで南下することは避けたいはずだ。要は、米中両国にとって北朝鮮は緩衝国家としての役割を果たしているのである。中朝関係が深まるなか、トランプ大統領としても中国を意識して、北朝鮮と何かしらの進展を模索せざるを得ない政治的背景が見え隠れする。

◆北朝鮮ペースで進む朝鮮半島情勢、日本の孤立化への懸念
 北朝鮮は、韓国の宥和政策、米中関係の行方を巧みに利用しながら、自らに有利な環境を作ろうとしている。それは、近年の金正恩氏の行動からも十分に読み取れる。金正恩氏は文在寅政権の誕生後、とくに去年の平昌五輪をタイミングとして韓国への接近を加速し、2回もの南北首脳会談を実現させた。また、中国を訪問して習近平氏と接近すればトランプ政権の顔色をうかがい、米国への接近を試みては中国の顔色を見ている。米中関係が対立すればするほど、多国間的な圧力を受ける可能性が減り、北朝鮮にとっては都合の良い環境が生まれる。

                                                                                                                 

 第2回米朝会談を前に、北東アジア情勢を眺めると、米国は国益第一主義、韓国は北朝鮮への接近、北朝鮮は天秤外交、中国は米国への牽制と、各国の目的や優先順位はバラバラで、この地域には協調の精神が見えなくなっている。日本が最もこれに頭を悩ませている。

 仮に、第2回会談が去年のような形に終わるならば、米国の北朝鮮への態度はいっそう軟化し、北朝鮮にますます有利な環境が生まれる可能性がある。さらに、それに拍車がかかるのであれば、朝鮮半島問題のプレーヤーは米国と中国、韓国と北朝鮮のみとする風潮が生じる恐れがあり、日本の存在力低下と孤立化がいっそう進むかもしれない。

Text by 和田大樹