行き詰まった在韓米軍負担問題、縮小・撤退の可能性も 日本にとっても試金石
◆文政権は撤退を黙認か
北朝鮮との外交交渉が進むなかで景気低迷に苦しむ韓国にとっては、このタイミングでの負担増を受け入れるのは物理的にもかなり難しいだろう。韓国与党は、1兆ウォン(8億9000万ドル相当)が限度だとWPに語っている。
加えて、文政権のメンバーの多くが学生運動出身の左派で、駐留米軍そのものに反発してきた過去があり、心情的な面でも負担増を受け入れるとは思えないという見方が強い。韓国の一般市民も「アメリカによるいじめ」には非常に敏感なため、文政権としても弱みを見せるわけにはいかないという内情もある。
とはいえ、文政権のほうから米軍の撤退を要求することは「絶対にない」と、韓国保守派の元安全保障アドバイザー、チョン・ヨンウォ氏はWPに語る。ただ、同氏は「しかし、トランプ大統領がこの問題によって撤退を決めれば、そうした決定を嘆く者は(文政権内には)いないと思う」とも述べている。つまり、米側から撤退の提案があれば、文政権ならば黙って受け入れる可能性があるということだ。
米タフツ大学の朝鮮半島情勢の専門家、ソン・ユンリ氏も、「文氏とそのアドバイザーたち、彼の支持基盤の国民は、公にはどう言おうと、米軍の縮小には無頓着だ」と、文政権は在韓米軍の縮小を厭わないことを示唆(『ザ・ヒル』)。また、同氏は、分担金交渉でトランプ大統領が侮辱的な発言をすれば、政権内や市民の間に大きな怒りと不快感が広がり、「中東以外ではまだ珍しい、大規模な反米デモのきっかけにもなりかねない」と警告する。