「いずも空母化」は第一ステップ? 5隻に向かう中国、「ゆるやかなアプローチ」で追う日本
◆大型空母の保有も「時間の問題」と米誌
日本の空母保有の壁は、ナショナル・インタレストも「たった一つの障害」だと指摘しているように、技術や予算ではなく、政治的な問題だ。今回の「いずも」改修案の具体化に際しても、平和憲法が禁じる「攻撃型兵器」の保有に当たらないかという点が最大の焦点となった。これについて、自民党は、「攻撃型空母」は、対地攻撃能力を主とする艦載機を搭載するものだと定義。「改修後のいずも型護衛艦は、運用可能な航空機などを勘案すれば、憲法上保有を禁じられるものではない」という文書を交わすことで、懐疑論が出ていた公明党を説得したという。
ナショナル・インタレストは、「政治的障害であろうと、障害には違いない。“翔鶴”と“瑞鶴”の登場は国内外で大きな反動を呼ぶだろう。実際のところ、そのような障害があることにより、ゆるやかなアプローチが要求されると思われる」としている。その「ゆるやかなアプローチ」は、「いずも」改修計画によって既に始まっていると言えよう。
一方、「国内外の大きな反動」も、中国外務省が「いずも」改修計画に非難声明を出すなど現時点で既に発生している。シンガポールの識者は、南北朝鮮(韓国・北朝鮮)の反発も招き、日本の空母保有をきっかけに北東アジアの軍拡競争が進む可能性があると指摘。香港の軍事コメンテーターも「第二次世界大戦の日本の侵略の被害者を不安に陥れる」と批判的だ(SCMP)。とはいえ、ナショナル・インタレストは、「日本がいつの日かいずもの後継型(空母)を建造するにあたっては、いくらかの議論はあるだろうが、もはや時期がいつなのか、それがどのような姿になるかという問題でしかない」と結論づけている。