日本に空母は必要か? 米防衛メディアが分析 鍵となる2つの課題

出典:海上自衛隊ホームページ

◆中国の圧力
 米防衛メディア『Defense One』も、中国の脅威が増すなか、特に離島防衛が鍵となる現状では、日本が空母を保有することには一定の妥当性があると見ている。ただし、日本政府は運用面と財政面の2点において、果たして空母がベストな選択なのか、よく考えるべきだとしている。

 運用面では、尖閣諸島に比較的近い無人島などに無人機を配備するという「より安く、人員も必要としない」オプションもあると指摘。ただし、「日本には無人機で制空権を確保する技術はない」とし、その取得に莫大な予算と長い年月を注ぎ込む必要があるとしている。そのため、短期的に見れば空母の方が現実的ではあるが、「20機程度のF-35Bで、数で勝る中国空軍を相手に制空権を維持できるのかという疑問は残る」とも言う。

「いずも」と「かが」をそれぞれ改修して計20機余りのF-35Bを新規に購入するのに必要な予算は、約40億ドルだと言われている。安倍政権は、2019年度の防衛予算に約5兆3,000億円要求しているが、その約8%に当たる予算を空母につぎ込めるのか。Defense Oneは、空母部隊の維持費もかかるとし、「既に人口減で隊員の確保に四苦八苦している自衛隊が新たな人員を確保できるのか」と人材難の可能性にも言及している。

 中国が新型空母を次々と進水させるなど、海軍力を増強し続けている。動き続ける情勢を見ながら、時節を捉えた判断が必要だろう。Defense Oneは、「日本は今、決断を迫られている。残された時間は少ない」としている。

Text by 内村 浩介