中国が圧力、台湾と断交する国相次ぐ アメリカが歯止めに動くも冷めた中南米

Taiwan Presidential Office / flickr

 このところ台湾と国交のある国々が、中国に鞍替えする事態が相次いでいる。相手国に経済支援を約束することで国交樹立を押し進める中国のこのやり方は、手なずけることが困難な蔡英文総統に対する外交的締め上げだと報じられている。国交はないものの、台湾とは特別な関係を持つアメリカは、台湾を支援する動きを見せている。

◆台湾の外交問題にアメリカ介入 中国は反発
 この3年間で、台湾と断交し中国と国交を樹立したのは、サントメ・プリンシペ、パナマ、ドミニカ共和国、ブルキナファソ、エルサルバドルの5ヶ国だ。現在台湾と国交があるのは、17ヶ国のみで、そのほとんどが中央アメリカや太平洋の小さな途上国だ。

 アメリカはこの状況に懸念を示しており、お膝元とも言えるラテンアメリカのドミニカ共和国、エルサルバドル、パナマの米大使を召還し対応を協議した。アメリカは1979年に中国と国交を樹立し台湾とは断交しているが、台湾関係法という法律のもと台湾を他国の国家と同様に扱っている。台湾にとってアメリカは主要な武器供給国であり、最も強力な国際的支援者だ。

 アメリカの動きに対し中国外交部の報道官は、どの国と国交を結ぶかは、主権国家の権利であり尊重されるべきだと述べた。さらにアメリカ自体が「一つの中国」を認め、何十年も前に中華人民共和国と国交を樹立した国だとも述べ、他国が中国と国交を持つことを正しく認識し、台湾問題を慎重に扱い、無責任な行動を取らないようにすべきだと牽制した(ロイター)。

Text by 山川 真智子