「年内に平和条約」プーチン大統領の真意は? 海外メディアの見方

Valery Sharifulin / TASS News Agency Pool Photo via AP

◆煽り? フラストレーション? 領土問題解決の意思なし
 プーチン発言をどこまで本気と見るかだが、ロシアの元外務次官、ゲオルギー・クナーゼ氏は、プーチン大統領には本気で領土問題を解決する気はないと述べる。発言はただの煽りであり、何も期待していないだろう、とモスクワのラジオ局に語っている(AFP)。フォーリン・ポリシー誌は、そもそも愛国主義的なロシア国民は、経済のために領土を差し出すことを支持するはずがないとし、北方領土返還はまずないと見ている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、欧米中心に西側諸国から経済制裁を受けているロシアが、アジアに戦略的バランスを移していることが、今回の発言に関係していると見る。ロシアは中国や韓国などとの関係強化に向かっており、アジアを取り込むことで、失った欧米からの資金を相殺することを期待している、ということだ。

 カーネギー財団モスクワセンターのアレクサンドル・ガブーエフ氏は、発言は日本の投資が少ないことにプーチン大統領がいらついていることの表れではないかとし、日本にプレッシャーを与えるのが目的ではないかとしている(AFP)。事実日本は西側の一員としてロシアへの経済制裁に参加しており、日本の多国籍企業も、ロシアへの投資には積極的ではない、とフォーリン・ポリシー誌は指摘する。

                                                                                                                 

◆戦略面を意識 今後も日露関係はあきらめてはいけない
 日本はこれまで北方領土を取り返すため、主権や統治のやり方などに関し、様々な提案や妥協をしてきたが、どれもロシアの気に入るものではなかったとフォーリン・ポリシー誌は述べる。このままロシアと付き合い続ける意義はあるのかと考えてしまうが、同誌は、安倍政権が長期にわたってロシアに関与し続けてきたことにおいて、もっとも大事な要素は戦略面であり、ロシアと中国の関係にくさびを打ちこむことだとする。

 日本はロシアが戦略的パートナーになることはないと知っているし、意見がまとまる余地は少なく、両国外相、防衛相による2プラス2の協議も、結果を求めるというよりは善意の印のようなものだと同誌は指摘する。仮に中露関係が少しでもギクシャクするようなことでもあれば2プラス2が意味を持つだろうが、それでもロシアはこれまで通り曖昧な態度を取るだろう。それでも日本としては、中国に近寄り過ぎることへの疑問の種をロシアに撒き、ロシアの信頼性について中国に不安を感じさせることができれば、会談を続ける価値はあるとしている。

Text by 山川 真智子

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