「年内に平和条約」プーチン大統領の真意は? 海外メディアの見方

Valery Sharifulin / TASS News Agency Pool Photo via AP

 ロシアのプーチン大統領が、無条件で日露平和条約を締結することを安倍首相に提案した。戦後70年を経ても日露間に平和条約が結ばれないのは、北方領土問題における日露の考え方が異なるためだ。領土返還が前提という日本政府の見解をよく知っているはずのプーチン大統領。なぜ今このような発言をしたのだろうか。

◆まずは平和条約を プーチン氏、本気を主張
 プーチン大統領の発言は、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで出てきたものだ。この会議には安倍首相も出席しており、未来の世代のためにも、平和条約締結へのアプローチを変えねばならないと発言し、北方領土の共同統治が一つの策だと熱く語った。

 これに対しプーチン大統領は、安倍首相がアプローチを変えようというのなら、無条件で平和条約を年末までに締結しようと、アジアの首脳たちを前に提案した。「ジョークではない」というプーチン大統領は、平和条約締結により、両国関係に良い雰囲気が作られ、懸案となっている問題も友人同士のように解決することができると話した。過去70年間にわたり解決できなかったすべての問題の解決が容易になると自分には思えるとも述べた(AFP)。
 
 この件に関し、菅官房長官は、どんな条約であろうと、まず領土返還が必要だと述べ、安倍首相とプーチン大統領が過去に無条件の平和条約について話し合ったことはないとしている。またロシア側の報道官も、プーチン氏の発言は突然飛び出したものだと説明している。

Text by 山川 真智子