消えゆく島に40年間木を植え続けた男、セントラルパークの1.6倍の森を作る

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◆政府の政策よりも伝統的な方法が自然を守る
 ジャダブ氏が40年で植林をした広さは約550ヘクタールで、340ヘクタールのニューヨークのセントラルパークの約1.6倍にあたり、一人で成し遂げるにはいかに壮大な緑地計画かがわかる。マジュリ島では植えた植物に水をたっぷり与え、土で苗を挟みこんだ。

 ジャダブ氏は、政府の土砂崩れ対策よりも、自然な方法で土壌の浸食を防ぐために食物を植えていくほうが効果的だと思った、とBBCに語っている。現代の植林技術を使わずとも一本の植物が育つことによって新たな苗が大地に生き残れる強い土壌を作り上げている。砂しかなかったマジュリ島にはコットンや竹をはじめありとあらゆる種類の植物が育っている。植物学者の学位を与えられるべきだという意見もある。

 2014年には『Forest Man(森の男)』という題名のドキュメンタリーも製作され、カンヌ映画祭などをはじめショートフィルム部門で受賞している。

 今もモンスーンで地形が崩れ縮小を続けるマジュリ島だが、自然の力と人間の努力によって生き続ける。人類の将来を守ろうと誓った少年のことを知り、私たちも自然を保護するために一人一人の努力が必要だと再認識させられる。

Text by 安藤麻矢