シリアの「ホワイト・ヘルメット」、イスラエル軍によってヨルダンへ搬送される

Syrian Civil Defense White Helmets via AP, File

 22日、シリアの政府系メディアは、ホワイト・ヘルメットに対抗するキャンペーンを打ち出した。イスラエルが救出を手助けしたことを指摘し、ホワイト・ヘルメットが敵の勢力に加担していた証拠であると言及した。シリアの国営テレビ局イフバリヤは救出作戦を「不祥事」であると報じ、国営シリア・アラブ通信社SANAはホワイト・ヘルメットの「秘密」は「スパイとしての役割が終わった」ことで暴かれたと伝えた。

 シリアの国会議員であるカリド・アブードゥ氏は、シリアへの「侵略」を鎮圧した政府軍の勝利により、「外国勢力がスパイたちを戦場から撤収させている」と述べた。

 シリア政府軍は、ロシア空軍の援助を受け、反体制派によって支配されていたシリア南西部の東側より急速に攻撃を強めていった。ここは、軍事戦略的に重要であり、1967年にイスラエルに占領されたゴラン高原と、ヨルダン国境をまたぐ地域にある。政府軍は最初にヨルダンとの国境を制圧し、反体制派の中枢部に圧力をかけ、彼らが数年間支配した地域を次第に崩していった。2011年に内戦が始まって以来初めて、1974年にイスラエルとの停戦協定で定めた境界に沿って拠点を取り戻した。

                                                                                                                 

 このことにより、反体制派とホワイト・ヘルメットはこの地域に取り残された。片側では政府軍に取り囲まれ、イスラエル側の国境が封鎖されている中、南側からはイスラム過激派組織に阻まれていた。

 武装グループとの間で引き渡し協定が結ばれ、数千名を、反体制派が今なお支配力を振るっているシリア北部のイドリブ県へ避難させることが許可された。しかし、1人の民間防衛当局者が、自身の身元が明かされることにより安全が脅かされると危惧し、これを拒否した。そして、ロシアがホワイト・ヘルメットを北部へ避難させることに反対していると述べた。

 AP通信からの20日付の第一報は、シリアの民間防衛隊員数百名とその家族の救出計画についてであった。ロシアの支援を受けた政府軍によって封鎖されたゴラン高原国境地帯があるシリア南西部から、彼らを救出する計画を米当局者がまとめている、というものである。

 救出計画は、11日、12日にブリュッセルで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議後に推し進められた。

 救出されたメンバーらは、ヨルダンにて国連難民機関による支援を受けている。海外への移住についての進展はまだない。

 ヨルダンの外務省報道官であるムハンマド・アル・カイ―ド氏によると、救出されたメンバーは、3か月間、ヨルダンの封鎖された地区内に滞在することになるという。サファディ外務大臣は、英国やドイツ、カナダから、彼らの移住計画は3か月以内に実行されるとの約束を取り付け、そして救出を承認したのだとツイッター上で述べた。

 シリアの他地域から既にイドリブへ救出されているホワイト・ヘルメットのメンバーらが、同様の扱いを受けているかについては把握されていない。

 ヨルダン政府によると、攻撃が開始されて以降、行き場を失ったシリア人に対して今後国境が開かれることはないだろう。国連の報告では、ヨルダンは少なくとも65万人のシリア難民を受け入れているというが、同政府によると、難民認定されないまま入国し、ヨルダン王国内に不法滞在しているシリア人もまた同じぐらい存在するという。これまで30万ほどの人々が戦争によって住むところを奪われ、わずか数千人がイドリブへの避難を決めた。彼らは、政府軍による攻撃の次の標的になると思われる。

 米国のシンクタンク、センチュリー・ファンデーション社のシリア専門家アロン・ランド氏は、国際社会が長年提供してきた、ホワイト・ヘルメットに対する資金と支援を考えると、救出作戦は驚くに値するものではないと話す。

 「私にとっては倫理的なことのように思えるのだが、暴動が失敗に終わった場合、国際社会はメンバーを、家族と一緒に生きて脱出させようとするはずである」AP通信宛のメールで述べた。「国際社会がもっと早い段階でこの件に対応し、支援してきた反体制派の指導者たちに安息の地を提供していれば、調停に必要な支援を行い、そして殺戮や破壊を減らすことができたはずだ」

 「負けたチームに安全な出口を用意することが、すべてにとっての利益につながる」アロン氏は述べた。

 話は変わるが、イフバリア・テレビは22日、軍当局者からの情報を報じた。ハマ県マスヤーフの駐屯地がイスラエル軍による空爆を受けたとのこと。この地区には軍の施設がいくつかある。

By SARAH EL DEEB and ARON HELLER, Associated Press
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP