シリアの「ホワイト・ヘルメット」、イスラエル軍によってヨルダンへ搬送される
英国政府は、作戦は連帯して外交的努力に取り組んだからこそ可能であったと述べ、対立する地域において人々の命を救ってきたホワイト・ヘルメットのメンバーらの努力を称賛した。
英国のジェレミー・ハント外務大臣は、成功を収めた救出作戦を「素晴らしいニュース」であるとし、要請に従って素早い対応をとったイスラエルとヨルダンに対し、ツイッター上で謝意を表した。そして、ホワイト・ヘルメットは「勇者の中の勇者であり、絶望の中の希望の光である」と述べた。
ホワイト・ヘルメットのメンバーとその家族らは、6月にシリア南西部で始まった政府軍による攻撃を受け、イスラエル占領下のゴラン高原の国境地帯に取り残されていた。
シリア民間防衛隊としても知られるホワイト・ヘルメットの代表を務めるラーイド・サーリフ氏は、多くのメンバーと家族が、包囲された危険な地域から救出された、と述べた。
現在8年目となる長きにわたるシリア内戦において、イスラエルが介入することはこれまで一度もなかった。イスラエルは、ゴラン高原地域に避難してきた数千名のシリア人に対し、支援物資の提供や治療を行ってきた。しかし、すべての紛争当事者が敵同士だと見なされるようなシリア内戦に対して、不介入を支持するイスラエルの方針に変更はないと、イスラエル軍は見解を示した。
複雑な背景をもつシリアの戦場において、西欧諸国の同盟国に対して保護や庇護を提供するという作戦は、これまでに例のないことであった。
ホワイト・ヘルメットはこれまで数年にわたり、欧米諸国からの援助や資金、また技術訓練を享受してきた。政府軍による軍事攻勢が強まる状況にもかかわらず、反体制派が支配する地域において救助活動をおこなっていたために、ホワイト・ヘルメットはシリア政府にとって最大の天敵だと見なされている。
彼らの活動は、行政機関や公的サービスの存在しない地域で行われた。彼らの施設は標的となり、メンバーらは「ダブル・タップ」と呼ばれる方法で攻撃された。標的を爆撃場所に引き寄せ、確実にその場で命中させるため計画的に2度攻撃をする手法である。
シリアとロシアの両政府は、ホワイト・ヘルメットを「テロリスト」と呼び、外国勢力の「スパイ」であり、さらに反政府過激派組織に協力するものだと批判してきた。また、反政府活動のため、救助作戦と化学攻撃を計画的に実行していると非難する。