執拗なドイツ叩き……トランプ氏はなぜメルケル首相を目の敵にするのか?

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 トランプ大統領のドイツいじめが止まらない。北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議で欧州を訪れたトランプ大統領は、ロシアから大量にエネルギーを買うドイツは「ロシアの捕虜」だと批判。さらにツイッターでは、「ドイツがロシアに金を払っているなら、NATOが何の役に立つのか」とつぶやいた。トランプ氏はこれまでも、ドイツとメルケル首相に厳しい態度を取り続けている。その理不尽とも言えるドイツ嫌いの背景には何があるのだろうか。

◆繰り返されたドイツ批判 首脳会談後はなぜかご機嫌
 トランプ氏は、ドイツがロシアからパイプラインを引いて天然ガスを買っていることに触れ、「ロシアに何億ドルも支払うドイツをロシアから守るのが、なぜアメリカなのだ」とNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長に抗議したという。

 さらにトランプ氏はドイツがロシアにへつらっていると主張し、ドイツ批判を続けた。これに対し、ロシアの支配下にあった東ドイツで子供時代を過ごしたメルケル首相は、「今日自由のもと我々が統一されていること、そしてそのため独立した政策を取り、独立した決定ができることを大変喜ばしく思っている」と切り返している。

 さんざんドイツを批判したトランプ大統領は、その後行われた米独首脳会談を素晴らしいミーティングだったと評価し、両国関係は「ベリーベリーグッド」と述べた。メルケル首相のほうは、両国はよいパートナーであり、今後も引き続き協力を続けることを望む、とより控えめな評価だったという(ドイチェ・ヴェレ)。

Text by 山川 真智子