世界中に潜伏しているとされる北朝鮮のスリーパーセルとは

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◆北のサイバー攻撃部隊。監視の薄い海外に潜伏
 スリーパーセルの存在は、サイバー攻撃との関連で以前から注目されている。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、北朝鮮は1980年代からハッカーやプログラマーの部隊を養成していると述べ、上からの指示があれば、これらのハッカーたちはターゲットへの攻撃を開始すると説明している。韓国、アメリカなど各国のセキュリティ当局者の間では良く知られた話だという。

 北朝鮮のハッカーたちは、長らく中国からオペレーションを行なってきたが、脱北者や韓国の関係者によれば、政府の監視が少ない東南アジア方面にまで広がっているという。マレーシアなどでは、北朝鮮のハッカーはテクノロジー企業などに勤務し、ときにはギャンブルサイトを運営したり、ランサムウェアを利用したりして稼いでいるという。海外で活動できるよう外国語も学んでおり、中国、ロシア、インドなどに留学してソフトウェアやプログラミング技術を学び、帰国後はハッカーとして雇用されているとのことだ(NYT)。

◆生物兵器も拡散可能。アメリカも懸念
 ハーバード・ケネディ・スクールのベルファー・センターは、北朝鮮の生物兵器が使用される場合、スリーパーセルが媒介者となる可能性を指摘している。

 もっとも、米政府からの生物兵器に関する情報源やそれをサポートする分析はめったに公開されないうえ、情報の多くが脱北者の証言であるため、北朝鮮にどれだけの能力があるかを精密にまとめることは困難だとしている。

Text by 山川 真智子