航空界最大のミステリー、MH370失踪 遺族が立てた仮説

5周年追悼式の様子(2019年3月3日)|Djohan Shahrin / Shutterstock.com

 2014年3月8日、マレーシア、クアラルンプールから北京に向けて飛び立ち、そのまま姿を消したマレーシア航空370便。何が起きたのか、どこで消えたのか、どうして消えることになったのか、その謎はいまも何一つ明らかになっていない。そんななか、フランス人遺族やジャーナリストらが7年かけて積み上げた仮説を紹介する。

◆航空界最大のミステリーMH370の消滅
 2014年3月8日午前0時41分、クアラルンプール国際空港を飛び立ったMH370には、乗務員12人を含む239人が乗っていた。そのほとんどは中国人とマレーシア人。1時19分の「Good night, Malaysia 370」が管制局との最後の交信で、その後レーダーから姿を消したとされている。

 当初は最後に位置が確認された南シナ海で捜索が開始されたが、その後、同機がUターンしていたという情報をもとに捜索域は大きく変更された。当時受けた報道の印象は、二転三転する状況説明に、情報の小出し後出し。捜索も一向に進まず、ブラックボックスはおろか、機体の破片すら見つからないまま、マレーシア政府は2015年1月29日、「搭乗者239人は死亡したと推定する」と発表。その後、2015年7月になって、フランス領レユニオン島で機体の一部のフラッペロンが見つかり、MH370のものである可能性が指摘されているが、「通常リベットで留められているはずのナンバープレートがついていなかった」ため確実というわけではない(20 minutes、2018/5/29)。

 テロ、機体の故障、ハイジャック、機長による自殺行為、さまざまな説がささやかれるなか、捜索はタイムオーバーとなり順次打ち切られていった。公式見解は、「機体はインド洋に墜落した」と結論付けるが、原因は不明で「技術的問題あるいはハイジャック」と推定するのみだ(ユーロニュース、3/8)。

次のページ 「真実を知りたい」遺族の切望




Text by 冠ゆき