ロシアの半世紀ぶりの月面計画失敗、何を物語るのか?

月探査機ルナ25号を乗せ離陸するソユーズロケット(8月11日)|Roscosmos State Space Corporation via AP

◆ルナ25号失敗の背景
 ルナ25号の技術的な失敗の原因はまだ明らかになっていない。そのためロシアは委員会を設置し詳細に調査していくという。一方で、www.RussianSpaceWeb.comのアナトリー・ザク氏は、「軌道・姿勢制御系は脆弱な部分であり、多くの改修が必要だった」とも語っている(ロイター)。

 失敗に至った背景については、これまで西側諸国が課した最も厳しい経済制裁が挙げられている。制裁によりロシア経済、特に輸入に依存することが多いハイテク分野が弱体化していると西側諸国は考えている。(ロイター

 非営利団体セキュア・ワールド財団のディレクター、ビクトリア・サムソン氏は、「ロシアは品質管理、資金面で多くの問題を抱えていた」とも語っている(CNN)。

◆月面計画の競争激化
 ロシアは、月着陸船チャンドラヤーン3号を打ち上げたインドとの間で、月面計画において競争を繰り広げていた。ちなみに、チャンドラヤーン3号の月面着陸は、23日に予定されている。さらに広い意味では、月の南極域をターゲットにしている現在進行中のアメリカのアルテミス計画や中国のILRS計画との間でも競争していることになる。また、日本の宇宙機関JAXAの月探査機SLIMも25日、H-2Aロケットで打ち上げられる予定だ。(スペースニュース)

 このように月面計画は、宇宙先進国にとって宇宙大国としての威信をかけた大きな計画であり、未来の宇宙計画を見据えた重要な位置づけとなっていることが言えるのではないだろうか。

Text by 齊田興哉