広がるメタバース、環境分野でも注目 日産、仏スーパー、香港ホテルらも活用

日産自動車

◆日産自動車の環境系メタバース
 日産自動車は2022年1月、メタバースの環境ツアーを開催した。参加者たちが電気自動車の日産アリアに乗り、北極や南極など気軽に行けない場所を訪れて地球温暖化の影響を感覚的に知るという内容だった。20名の限定参加だったこのツアーは人気を博し、同年4月からは「NISSAN ARIYA "Global Warming & Our Future"Tour」として一般公開されている。

日産自動車

 続いて今年1月、日産は新しい環境系メタバースを公開した。今回の仮想空間「NISSAN EV & Clean Energy World」は、再生可能エネルギーに焦点を当てている。ユーザーはこの空間に入り、風力発電や太陽光発電などの発電施設を訪れ、そこで作られた再生可能エネルギーを日産アリアに充電する。メインの舞台となるキャンプサイトでは掃除や調理、入浴ができ、そこでどれだけの電力が消費されるかが示される。また、電気自動車から電気を取り出して家庭用に給電できる仕組み(電気自動車が電源になること)についても学ぶ。

◆海外の環境専門メタバース
 日産のメタバースと同様に、香港の大手ホテルチェーン、リーガルホテルズグループも環境を意識した経験ができる仮想空間を無料で提供している。その空間とは、カーボンニュートラルな未来の実現を促進する都市「MetaGreen」だ。昨春の制作発表の時は、本格的な環境系メタバースが登場すると話題を呼んだが、その第1弾が1月中旬に公開された

Regal Hotels International

MetaGreenは下記のようにいくつかの地区に分かれている。
・「リーガルホテル グリーンホテル&レジデンス」は、再生可能エネルギーやエコブリックを使っている環境に優しいホテル。アバター姿のユーザーはホテル内で、地産地消やサステナブルなウェルネスについて知ることができる。
・大手銀行の「ハンセン・バンク」では、ESG投資(環境(E)・社会(S)・汚職防止や情報開示などの企業統治(G)の3領域に配慮している企業に投資すること)について学べる。
・「バーチャルなエコスーパー」は、スーパーマーケットチェーンのシティ・スーパーの店舗だ。責任ある買い物をコンセプトにしており、プラスチックごみの削減、食品ロスの削減、放し飼いの鶏の卵の購入などについて学べる。
(MetaGreenの詳しい内容については、こちらを参照)

Text by 岩澤 里美