人類を滅ぼす結果にも? 宇宙人へのメッセージ送信、新計画に懸念の声

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◆敵に居場所を明かすようなもの
 ポピュラー・メカニクス誌は、地球外生命体と接触を図る試みを評価しながらも、潜在的な危険性があると指摘する。「もしも私たちを待ち構えている敵対者がそこらに存在しているのだとすれば、私たちが行っていることは、いわば(第二次大戦中に連合軍とドイツが衝突した)バルジの戦いにおいてナチスに対し、我々の具体的な居場所と(DNA構造などの)独自の弱さを送出することにも似ている」と同誌は憂慮する。

 また、このような送信行為は、故スティーブン・ホーキング博士の考え方にも反する。英デイリー・メール誌(4月5日)は、「彼は受信によって地球外生命体を発見する試みには賛同していたが、電波メッセージによって積極的にコンタクトを取る活動については、地球外生命が友好的でない可能性がある懸念から警鐘を鳴らしていた」と指摘している。

◆解読は相当に困難
 また、そもそもメッセージは解読できないのではないかとの疑念もある。サイエンティフィック・アメリカン誌によると、地球外知的生命体探査の先駆者であるフランク・ドレイク博士(天文物理学)は過去、ノーベル賞受賞者を含む知人たちにアレシボ・メッセージの草案を送っている。解読できるかをテストするためだが、そもそもメッセージが図案を表していることに気づいたのが1名だけという結果となった。

 提言された新メッセージについては、送信の日取りも未定だ。中国と米カリフォルニア北部の電波望遠鏡が送信元として有力視されているものの、デイリー・メール紙によると具体的な段取りはまだ確立していない。

 夢のある宇宙探査だが、有用性と人類への安全性の面で異論もあるようだ。

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Text by 青葉やまと