楽しかった子供時代が蘇る? VHSテープを買い集める人々

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 90年代までは、ビデオと言えばVHSを意味していた。その後のデジタル化でVHSは終焉を迎え、若者は家庭で映画やドラマをVHSで見ていた時代を知らない。ところが近年、古い映画のVHSテープの収集が盛んだという。アナログ時代の郷愁が詰まったVHSの魅力がアメリカで再認識されている。

◆日本発の技術 デジタル化で終焉
 VHSは、1970年代に日本で開発された家庭用ビデオ規格だ。VTRビデオデッキとともに、長方形の箱型VHSテープはエンターテインメントを家庭にもたらす媒体として、全米に普及した。しかしデジタル化に伴い2006年に映画のテープへの変換が終了したことで、VHSは終焉を迎えた。VHSビデオデッキも、2016年に船井電機が最後の生産を終了。VHSテープの生産・販売は、複数のメーカーが細々と続けている。

 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、VHSテープ自体は不滅かもしれないとし、今日ではバーチャルでもリアルでも、このカゲロウのような存在のための強力なマーケットが存在すると伝える。インスタグラムでは、2003年のコメディ映画『カンガルー・ジャック』のビデオが190ドル(約2万1000円)で売られている。電子商取引サイトEtsyでは、1989年のディズニー映画『リトル・マーメイド』の限定版が4万5000ドル(約500万円)で出品されているという。

Text by 山川 真智子