プレステ5、米紙「完璧に近いゲーム機」 レイトレーシングと高い没入感、海外でも好評

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 ソニーのプレイステーション5(PS5)が11月12日に発売された。リアルなグラフィックを実現するレイトレーシングに対応し、新型コントローラー「デュアルセンス」などがいっそうリアルなゲーム空間へと誘う。PS4から7年ぶりとなる新型機の登場は、海外でも熱狂的に歓迎されているようだ。実際にテストプレイを行った米各紙は、その圧倒的なスペックと高い没入感に興奮を隠さない。

◆レイトレーシングが描くリアルな街並み
 PS5はレンダリング手法として、リアルで美しい描写を可能にするレイトレーシングをサポートする。レイトレーシングとは画面を描写する際、画面上の各ピクセルから仮想の光線(レイ)を放ち、ゲーム世界内のオブジェクトまで逆方向に追跡(トレース)する手法だ。従来のレンダリング方法と比較すると光の反射表現に強く、リアルな表現が可能になる反面、大量の演算リソースを必要とすることがネックだった。PS5はレイトレーシングを高速に処理するGPUを搭載することでこれを実現した。

 リアルタイムのレイトレーシングについてワシントン・ポスト紙(11月6日)は、「従来ならば数千ドル(数十万円)もする高性能のパソコンでのみ可能」だった描画手法だと紹介している。同紙ライターが実際に『スパイダーマン:マイルズ・モラレス』をプレイしたところ、ゲーム体験はおもにこの技術のおかげで素晴らしいものになっていたという。ニューヨークの裏通りのちょっとした水たまりに摩天楼が映り込むなど、隅々まで生き生きとした世界が広がる。トレードオフとして放熱対策などのため本体が大型になってしまった点が悔やまれるが、その問題さえなければ「ほぼ完璧なゲーム機だとみなせると思う」と同紙は評価している。

 このように画質の向上は大きな話題だが、一方で旧環境の不満点であったロード時間も地道に改善している。メインドライブをHDDに比べて非常に高速なSSDとし、起動時とプレイ中の待ち時間を大幅に削減した。ニューヨーク・タイムズ紙(11月6日、以下NYT)の記者は「これまで僕の人生の時間がPS4のロード画面にどれだけ削ぎ取られてきたか、とても言い表せない」「(SSDの速さは)途方もない違いを生んでいる」と打ち明ける。西部開拓時代を舞台にしたPS4向けタイトル『レッド・デッド・リデンプション2』に至っては、キッチンに行って軽食を作れるほどロードが長かったと振り返る。対するPS5では、スパイダーマンの起動が3秒前後で完了するなど圧倒的に高速だ。

Text by 青葉やまと