124光年先に生命が? 水確認の惑星K2-18b、新研究でも「可能性あり」

ESA/Hubble, M. Kornmesser / Wikimedia Commons

♦︎問題は水素量
 しかし、水の存在と適切な温度条件だけでは、生命にとって好ましい条件が整ったと断言することはできない。技術メディアのCネットは昨年のこの発表を振り返ったうえで、その質量が懸念材料だったと伝えている。K2-18bが岩石質の地表を持つかどうかはまだ確認されておらず、一般的に大きな惑星であればガス惑星である可能性が高い。巨大なガス惑星には過度な気圧がかかるため、生命存在の見込みはきわめて薄くなる。

 サイエンス誌はよりわかりやすく、地球と海王星の例をあげて解説する。K2-18bは質量ベースでちょうど地球と海王星の中間にあたる。両者ともハビタブル・ゾーン内に位置するが、周知のように地球には生命がおり、一方で海王星に生命は確認されていない。もしK2-18bが地球のように岩石質の地表を持ち、なおかつ薄い大気層に覆われているのであれば、生命存在の可能性があることになる。反面、冥王星のように分厚い水素の層(水素外層)で覆われ、その下に高圧のアンモニアの海が広がるようであれば、この星に生命は期待できないというわけだ。

♦︎解析で見えた可能性
 昨年9月の水蒸気存在のニュース以来、このように惑星の状態に大きく影響する水素量が天文学者たちの次なる関心事となってきた。議論を進展させたのが、ケンブリッジ大による今年2月の発表だ。同大学で天文学を研究するニック・マドゥスダン博士率いる研究チームは、大気の状態や惑星のサイズなどをもとに、数学的・統計学的モデルを用いて解析を進めた。結果、K2-18bにおける水素の量は最小で惑星の質量の100万分の1程度であるという推論に至っている。これは地球の比率に近い数字だ。さらにいくつかのシナリオで検証したところ、この条件の下で、生命の生存に適する水圧が保たれている可能性があることがわかった。なお、岩石質の地表を持つかについてはいまだ判明していないが、サイエンス・アラート誌は地表の状態は生命存在の必須条件ではないとしている。

 Cネットは、生命が存在する場合のシナリオをより詳細に報じている。水素量が適切であり、かつ地球に似た岩石質の表面を持つ場合には、当然生命の可能性が考えられる。また、地表が完全に海で覆われていた場合でも、何らかの形の生命が存在する可能性が残されるようだ。研究チームは論文のなかで、K2-18bは生命が存在できる現実的な可能性だと述べている。メタンと酸素が検出され、地球に似た岩石質の地表を備える星にだけ生命の可能性があるという見方もあったが、今回の研究は新たな可能性を示す結果となった。

Text by 青葉やまと