火星にも雪が降る可能性 そのメカニズムとは

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◆火星でも冬景色を見ることができる?
 雲から落ちてくる氷の粒子の大きさはほんの数マイクロメートルしかないので、毎秒 程度しか降下しない。これだけ時間をかけて降下すれば、粒子が地表に到達する前に蒸発してしまう (氷が溶けて液体となる前に直接水蒸気に変化するため、このプロセスを厳密には「昇華」と言う)。季節によっては夜の間に霜が降り、火星の表面に斑点を残すことがあるが、これは大気中の凍った二酸化炭素が水氷の粒の外側を覆うことで、水氷が一時的に大きく、重くなり落下速度が増したためできた跡であると説明できる。

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 ネイチャージオサイエンスが発表した新たな研究の結果、凍った二酸化炭素という不思議なものに覆われなくても極めて小さな水氷が地表まで辿り着くメカニズムが判明した。この発見が正しければ、火星でも地球と同じように本物の雪が降ることが証明されたことになる。研究チームは2つの軌道上を周回する探査機(マーズ・グローバル・サーベイヤーとマーズ・リコネッサンス・オービター) から得た計測結果を使用し、火星の大気中の気温が高度に応じてどのように変化するのか調べた。その結果、火星では夜になると氷雲の下にある低層大気が不安定になることがわかった。これは低層大気の下側の密度が上側の密度より低くなるためである。

 低層大気が不安定になることで、大気中に下降気流が発生する。下降気流は毎秒約10メートルで移動し、氷の結晶を「蒸発する」間もなく地表へと運ぶ。こうして地表に雪ができるがその層はおそらく薄く、再び雲となり新たな雪となるため昇華して大気中に戻る前に消えてしまう。

 この現象は、地球で言うと「マイクロバースト」として知られる現象に似ている。雷雲の下で60mph (毎時97km) の速度を持つ局地的な下降気流が発生し、木々をなぎ倒す程のパワーを持つことがあり、この現象をマイクロバーストと呼ぶ。同様のプロセスが局地的な大雪の原因ともなる。地表付近の大気の層は温かいため、通常であれば雪の結晶を溶かしてしまう。しかし爆風がその層に穴を開けて雪の結晶を地上へ運ぶことで、大雪が発生するのだ。

 実際に火星の表面まで雪が辿り着く様子はまだ観測されていない。しかし雪が空を舞う様子は確認されている。NASAのフェニックス着陸船は2008年に火星の北緯68°の地点に着陸し、地表の泥を削り取った時にその下から氷を発見したことで有名となったが、表土のみならずその上の空に関する調査も実施していた。フェニックスはライダー (レーダーに似ているがレーザービームの反射を利用する装置) を用いて火星の大気を詳しく調べた結果、雲の層の下に少なくとも二晩の間、雪が舞う様子を観察した。

 フェニックスの調査中にもし十分なパワーを持つ下降気流が発生していたら、ある朝いつもの赤い風景が冬景色へと変わっているのを、数時間だけでも観測できたはずだ。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by t.sato via Conyac

The Conversation

Text by The Conversation