なぜアップルが動物愛護団体の「今年の企業」に選ばれたのか?

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 世界最大の動物愛護団体「PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)」が選ぶ、今年の企業にアップル社が選ばれた。その理由とは。

◆動物愛護団体PETAとは
 PETAは、アメリカのバージニア州を拠点に置く非営利団体で、動物の権利の確立と保護を目的に1980年に設立された。創設者は、イギリス出身の活動家イングリッド・ニューカーク(Ingrid Newkirk)で、両親の赴任に伴い子供時代をインドのニューデリーで過ごした経験を持つ。

 ニューデリーでは、父親がエンジニアとして働き、母親がマザーテレサの奉仕活動に参加するなか、ニューカークもボランティア活動や野良動物の世話などをした経験がある。この経験が動物も含め、助けが必要な人をケアするという価値観を形成したという。アメリカに在住していた1970年、捨てられた子猫を動物シェルターに持って行ったことをきっかけに、シェルターで働き始めた。そこで動物が扱われている状況を目にして、PETAのような団体が必要だという考えに至ったそうだ。

 PETAは現在900万人以上のメンバーと支援者を抱える世界最大の動物愛護団体へと成長。イギリス、フランス、オランダ、スイスなどの欧州各国、インドやオーストラリアなどにも支部があるグローバル団体である。PETAは、最も多くの動物が長期にわたって過酷な状況に置かれている4つの場所に焦点をおいて活動しているという。それらは動物実験などが行われる実験室、食品業界、衣料品業界、エンターテインメント業界だ。具体的には、市民への啓蒙活動、情報収集と調査報道、研究、動物救護、法への働きかけ、イベント、セレブリティを巻き込んだ活動、および抗議活動を行う。しばしば過激なキャンペーンを行うことでも知られている。

Text by MAKI NAKATA