EU、森林破壊に関わる輸入品を禁止へ 法案に合意 企業にデューディリジェンス求める

伐採されるボルネオ島の熱帯林|Rich Carey / Shutterstock.com

◆施行は来年目途 消費者への影響なし
 欧州議会のクリストフ・ハンセン議員は「この画期的な規則によって、世界中の森林保護活動を後押しし、COP15に出席する国々に影響を与えることになるだろう」と述べた(ロイター)。森林破壊は、気候変動を引き起こす世界の温室効果ガス排出量の約1割を占めており、カナダのモントリオールで19日まで開催される国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)における主要議題の一つとして、具体的な目標が設定される見通しがある。

 欧州議会が同法案を正式承認してから20日後に同法案が成立し、来年に施行される運びになっている。同法が成立してから18ヶ月後に大企業に、24ヶ月後に中小企業に適用される。EUは、消費者への価格における影響はほとんどあるいはまったくないとした。

◆CO2排出削減効果も デンマークの年間削減量と同レベル
 欧州委員会はこの規定のインパクト評価を行い、保護される森林の規模は年間最低7万1920ヘクタールに及び、CO2排出削減量は年間推計3190万トンに上ると算出した。この削減量はデンマークのCO2排出量と同等レベルになる。

 EUは、1年以内に雑木林に、2年以内に危機に瀕したエコシステムまで拡大する意向を示すと同時に、域内の金融機関が森林破壊に関連した金融サービスを消費者に提供することも対象にするかどうか調査するとした。

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Text by 中沢弘子