太平洋の「ゴミの渦」、日本など漁業先進国のゴミが大半占める
◆日本、中国で7割近く 漁業国が汚染に寄与
論文の研究者たちは、NPGPにおける2019年の海洋調査で集められたプラスチック破片を分析し、それらの大部分が漁業先進国の漁業活動に由来する可能性が高いと結論している。
プラスチック片に示された言語や社名、ロゴといった原産国の証拠と製造年月日などがチェックされ、起源が特定されたものでは、日本(34%)、中国(32%)、韓国(10%)、アメリカ(7%)、台湾(6%)が上位5ヶ国となった。いずれもこの地域で活発に動いている漁業国だ。これらの国の陸におけるプラスチック汚染への寄与は少ないが、NPGPに関しては、大きく寄与していると考えられる。
日本は数字だけ見れば最も汚染の原因になっているように見えるが、論文は2011年の東日本大震災の津波によって放出された瓦礫の影響もあると見ている。継続的な廃棄によるプラスチック片と異常気象で放出された破片を区別することは非常に困難だということだ。
◆NGOだけでは無理 一般市民も関心を
今回の論文の責任著者ローレント・レブレトン氏は、ゴーストギアの発生を規制・監視するために、漁業の透明性を高め、各国の協力を強化することが必要で、これが海洋プラスチックの「もう一つの蛇口」からの排出削減につながるとしている。
オーシャン・クリーンアップの2020年の調査では、太平洋ゴミベルトのゴミは、密度が高まりサイズも大きくなっているという。同団体では2040年までに海洋のプラスチック廃棄物の90%を除去するという目標を掲げており、実際にU字型の柵のようなものを船舶に引かせ、かかった海洋ゴミを除去している。しかしレブレトン氏は、非営利団体の取り組みが恒久的解決策であるべきではないと主張。市民の意識が法律制定を後押しするとし、この問題に対する人々の理解を求めている。(科学・テクノロジーサイト『ポピュラー・サイエンス』)
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