カリフォルニア州、干ばつの影響で今夏も水・電力不足の危機
◆ロサンゼルス・サンフランシスコも屋外の水使用制限
ロサンゼルス都市圏などカリフォルニア南部に水を供給する「カリフォルニア州都市水道局(MWD)」は4月26日、住民約600万人に対し、芝生や庭の水まきなど屋外の水の使用を週一回に制限する異例の措置を発表した(ロサンゼルスKTLA)。水の使用量を35%削減(ひとり当たりの1日の割当量約80ガロン=約301リットルに相当する使用量)する目標だ。対象となるのは、ロサンゼルス郡、オレンジ郡、サンディエゴ郡、リバーサイド郡、サンベルディーノ郡、ベンチュラ郡のそれぞれ一部地域で、6月1日より開始する(ロサンゼルス・タイムズ、5月25日)。北部でも同月26日、干ばつ緊急事態宣言ステージ2「深刻な干ばつ」(5段階中上から2段目)が宣言され、住民140万人に対し水使用制限が発令された。米ヤフーニュース(4月29日)によると、サンフランシスコ東部の地域、オークランド、バークレー地域の住民は、朝9時から夜6時まで芝生の水まきを制限される。
ニューサム州知事は5月23日、「全体的な使用量が低下しなければ、水の使用制限の義務化が住民にとって現実のものになるだろう」と最終的な切り札も辞さない厳しい姿勢を示した(インターナショナル・ビジネス・タイムズ、5月24日)。この2ヶ月間の使用量を判断材料にするとしている(ロサンゼルス・タイムズ、5月25日)。
◆電力不足の見込み 今夏も計画停電のリスク増大
記録的な猛暑や大規模な山火事が続く同州では、水不足のみならず、送電線の火災などによる電力不足も発生している。同州の電力事業を監督する「カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)」の推計によると、今夏の電力使用ピーク時(日没後のエアコン使用時)に約1700メガワット、約130万世帯の供給量が不足する見込みで、最悪の自然条件が重なる場合は約5000メガワットが不足し、約375万世帯にしか電力が供給されない計算になるとした。また、2025年までに不足する電力量は1800万メガワットに膨れ上がる可能性も指摘した(ブルームバーグ、5月6日)。2020年8月にも記録的な猛暑と大規模な山火事に見舞われ、電力供給が逼迫し、計画停電が実施された。
州政府は2018年、「2045年までに100%ゼロカーボン電力」を法制化し、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を推進している。なかでも干ばつの影響に左右されにくい太陽光エネルギーに注力しており、現在、蓄電池型の太陽光発電の増設を進めているが、燃料費高騰や太陽光パネルに関する規制問題などの影響で計画通り進んでいない(AP通信、5月7日)。「カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)」のシバ・グンダ副代表によると、エネルギー供給は不安定な状況にあり、水力発電も干ばつの影響で発電量が減少している。同州の電力供給源の割合(2020年)は、天然ガス37.06%、再生可能エネルギー(主に太陽光と風力)33.09%、水力発電が13.6%、原子力発電が9.33%、石炭2.74%を占めている(CEC・20年データ)。太陽光や水力発電が期待できない現状では、頼みの綱は、住民の協力しかないようだ。CPUCアリス・レイノルズ代表は、「日中早い時間に家を涼しく冷やして、太陽が沈んでからはクーラーを止めるなどして、節電に協力してください」と住民に訴える(AP通信、5月7日)。
今夏も、電力供給の逼迫による計画停電は避けて通れそうにない。
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