PM2.5対策、アンモニア削減が効果的 NASAはアフリカのアンモニア排出源を調査

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◆アフリカで増加 衛星データから判明
 NASAが主導した研究で、アフリカの大気中のアンモニア濃度の変化が調査された。人口が増えるアフリカでは、多くの国の政府が食糧増産のため肥料の使用を奨励している。これに加え、焼畑のような立木や枯れ草を燃やすバイオマス燃焼が広く行われており、地球上の年間燃焼面積の約70%がアフリカ大陸だという説もあるという。(アース・オブザバトリー)

 研究では、衛星データを用いて、2008年から2018年の間にアフリカ全域で起こったアンモニア濃度の増減が確認され、変化の原因と思われるものが特定された。たとえば、農業の拡大で肥料の使用が増えたビクトリア湖地域では、農家がより多くの肥料を投入した地域ほどアンモニア濃度が上昇していた。

 西アフリカでは、乾季の終わりとバイオマス燃焼のピークが、アンモニア濃度の上昇の時期と一致していた。これまでの研究ではアンモニア濃度の上昇は肥料の使用によるものだと考えられていたが、アンモニア汚染が最も増加するのは、肥料を入れ始める前の焼畑の時期に起こっていることがわかった。

 一方、南スーダンは調査期間中に大気中のアンモニアが明らかに減少した唯一の地域となった。ここにはナイル川の水源となっているスッドという3万平方キロメートルの湿地帯があり、約半分は常に冠水しているが、残りの半分は降水量が多いときに冠水する氾濫原となっている。研究者たちはスッドの広い地域が乾燥した年には自然にアンモニアが放出され濃度が上昇し、降水量が多い年には低下することを突き止めた。

◆増える世界の人口 食料安全保障にも影響
 2050年には世界の人口はおよそ100億人になると予想され、アフリカの人口はそのころには現在の2倍の25億人にもなると予想されている。研究の代表者で、NASAゴダード宇宙研究所の研究員、ジョナサン・ヒックマン氏は、今後アフリカで農業生産が拡大すれば、多くの地域で大気中のアンモニア濃度が上昇する可能性があると指摘している(アース・オブザバトリー)。

 同氏はすでに同様の傾向が世界各地で見られているとし、世界的に人口が増加し、食料安全保障が大きな課題となっているなかで、今回の研究の結果は重要な意味を持つと述べる。人為的、そして自然のアンモニア排出の発生源がどのように変化するかを理解することは、持続可能な農業開発促進のための政策や技術を確保するうえで重要だとしている。(アース・オブザバトリー)

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Text by 山川 真智子