ロンドン地下鉄で高濃度PM2.5 地上の30倍汚染の路線も

Tom Eversley / Shutterstock.com

 ロンドン地下鉄における微粒子汚染の度合いは、交通量の多い道路より30倍も高い。こんなショッキングな調査結果が、今年初めに大きく報じられた。その後、フィナンシャル・タイムズ紙が独自に調査を敢行。歴史あるロンドン地下鉄の深刻な汚染の実態が明らかにされている。

◆地下にもPM2.5、市民の足の汚染深刻
 イギリス保健省の大気汚染の医学的影響に関する委員会(COMEAP)は昨年12月、地下鉄の空気についての調査結果をまとめた。これによると、ロンドン地下鉄のプラットフォームの空気中の粒子状物質の濃度は、地上大気中の濃度よりかなり高くなっていることがわかった。PM2.5の濃度がもっとも高かったのは地下60メートルと最も深いところに建設されているノーザン線で、1立方メートルあたり平均492マイクログラムだった。ロンドンの道路わきのモニタリング場所で年間の平均が16マイクログラムであることから、いかに数値が高いかがわかる。

 委員会は、すでに短期、長期に渡り、微粒子で汚染された空気にさらされることで健康被害が起きることには強力な証拠があることから、ロンドン地下鉄を使用することで健康被害が起きると考えられるとしている。

Text by 山川 真智子