古着市場の拡大からみるサステナブルファッション

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◆サステナブルを優先するZ世代
 リセール(古着)市場がここまで成長している理由の一つに、新型コロナウイルスのパンデミックで世の中が著しく変化したことが挙げられる。リセールレポートによると、パンデミック間に初めて古着を購入したと答えた人は3300万人以上、その76%の人は今後5年間で古着への支出を増やす予定だと答えた。そして3人に1人の消費者は、パンデミック以前に比べてより持続可能な服を着ることに関心があることがわかった。Z世代は衣料品の消費に関してまったく新しい考え方を持っており、「使い捨てから再利用」「捨てるから売る」「個人所有からシェアリング」へとマインドセットが変わってきている。ミレニアル世代とZ世代消費者の40%までもが、過去12ヶ月間に中古の服、靴、またはアクセサリーを購入したと答えた。

 英語で、古着屋はスリフトストア(thrift store)、古着を買うことはスリフティング(thrifting)という言葉が使われる。古着を買う動機はサステナビリティだが、それよりも彼らが求めているものは、スリフティング(倹約)のユニークな体験である。オンラインリセールのDepopで古着とハンドメイドグッズを販売し、毎月1000ドル(約11万円)以上を稼いでいる21歳のペレス氏は、スリフティングはすでにノーマル化していると述べる。「多くの人がスリフティングし、カッコいいことと認識されている。モールに行くよりもいいし、若い人たちは掘り出し物を見つけるゲームのように楽しんでいる」と語った。(NPR

◆環境への影響
 米国では、毎年360億点の衣類が廃棄されていると推定されており、これらの95%はリサイクルまたは再利用できるものである(リセールレポート)。ツイッターやインスタグラムなどのソーシャルメディアでは、ファッションステートメントとしてスリフティングを広めるだけではなく、埋め立てごみから搾取的な労働条件までファストファッション業界の裏側や実態を訴える人たちが多くいる。

 調査を実施したスレッドアップは、「地球」を最も重要な利害関係者の一人とし、使い捨てファッションの悪影響と戦うことを大きなゴールの一つとしている。大規模なリセールを推進し、人々と地球に良い影響を与えるため、何百万もの古着を生き返らせ、ファッションの環境的および経済的コストをリセットしている。

 中古品を購入することで、環境に貢献できることはとても多い。新品の購入に比べ、古着を買うことで二酸化炭素排出量を82%、消費エネルギーを88%、使用する水を98%抑えられ、また消費者のお財布にも優しい。

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Text by sayaka ishida