CO2排出ゼロ、水から水に戻る「水素エネルギー」「人工光合成」は夢ではない

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◆自然界の光合成のしくみ
 小学校・中学校でも習う光合成は、太陽のエネルギーを使って、CO2と水から有機化合物の一種である糖質(デンプン、セルロースなど)と酸素を産生する反応として知られている。しかし、この反応は一つの反応ではなく、複雑な多くの反応が連続して進行する多段階反応だ。

 その反応は、太陽の光エネルギーを吸収して化学変化がおこる「明反応」と、その産生物を使ってCO2から糖質を合成する「暗反応」の2つの反応に大別される。

 明反応のステップでは、光エネルギーによって水が分解し、酸素と水素イオンと電子が生じる。この酸素が大気中に存在する酸素の源だから、光合成が、いかに優れた貴重な反応であるかがわかる。

 光合成生物は、地球に到達する太陽光の0.1%しか使っていないと言われている。あり余っている太陽エネルギーを人間が使えるエネルギーに変えることが求められている。

◆人工光合成と水素
 前述のように、明反応の過程で電子が生じているので、植物を使って、この電子を取り出すことができれば電気エネルギーとして使うことが可能だが、そう簡単ではない。このプロセスを人工的に再現し、水から電子を取り出すことができれば、正しく究極のクリーンな発電になる。これが「人工光合成」だが、これもきわめて困難だ。植物が光合成を行う過程で、水は酸素と結果的に水素に分解される。そこで、人工の光触媒と太陽光を使って、水を水素と酸素に分解する方法を開発するのが当面の「人工光合成」だ。

 我が国の未来の電気エネルギーを真剣に考えなければならない。原発の問題を議論すると、必ず再生可能エネルギーの利用が持ち上がる。無尽蔵の太陽光と無尽蔵の水を使って、ある種の光触媒を用いて、常温常圧で簡単に水を水素と酸素に分解する方法を至急に開発する必要がある。

Text by 和田眞