ヴィーガンが地球を救う?

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 地球の気候変動を引き起こす大きな原因として挙げられるのが、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)などのガスであり、近年これらの温室効果ガス濃度が急激に増加している。二酸化炭素に関しては、一人が肉食からヴィーガンに食生活を変えただけで、排出量が年間1.5トン削減される。また、メタンは地球の大気中の熱を閉じ込めるのに二酸化炭素より20倍強力であり、鶏、七面鳥、豚、牛が米国で最大のメタン排出源となっている。つまり、牧草などを食べる際の「ゲップ」や「オナラ」である。そして、肉、卵、乳製品業界は、世界の亜酸化窒素排出量の65%を生み出している(Culinary Schools.org)。国連食糧農業機関(FAO)は、人為的に排出される温室効果ガスの14.5%が畜産業によるものであると発表している。

 さらに、米国で育てられた穀物の70%は家畜に与えられている。1ポンドの肉を生産するために16ポンドの穀物、1ポンドの養殖魚を生産するためにはその約5倍の野生の魚を与えることが必要になる(Culinary Schools.org)。これだけでも、食物用に動物を育てるのはいかに非効率であるかわかる。また、前出のオックスフォード大学の調査結果では、牛乳は豆乳やオーツミルク、アーモンドミルクなどのヴィーガン代用品と比較して約3倍の温室効果ガスを排出することが明らかになった。また、牛乳はオーツミルクの10倍以上の土地を使用する(BBC)。

◆ヴィーガンでなくてもできること
 数えたら切りがないほど、動物性食物の環境に与える影響は大きい。完全にヴィーガンになることは難しくても、「フレキシタリアン」(ヴィーガンやベジタリアンのように菜食主義ではないが、意識的に肉の消費を減らす生活)をするだけでも環境に与える影響は減らすことができる。イギリスの調査会社YouGovによると、イギリス人の14%が自身をフレキシタリアンと考えている。これからは、当たり前にチキンに手を伸ばすのではなく、少し考えてから食材やメニューを選んだりしてみるのもよいかもしれない。

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Text by sayaka ishida