流出油の回収にも活躍 注目される髪の可能性

Sumeet Mudhoo / AP Photo

◆海の汚染抑制に用いられる髪
 髪のリサイクルは、かつら作りだけではない。南仏の団体コワファー・ジュストは、カットした髪を全国から集め、公害対策に役立てる活動をしている。というのも、1キロの髪は8リットルの炭化水素(石油の主成分)を吸うことができるからだ(フランス3、5/27)。具体的には、同団体では集めた髪でソーセージ状のブイを作り、海の汚染抑制に役立てている。

 これは、一見奇抜な案に思えるかもしれないが、海の男たちの間では昔から知られてきた方法だ。実際、1978年に原油タンカー、アモコ・カディスがフランス海岸近くで座礁したとき、ブルターニュの漁師が即座に取った対策は、流出油の拡散を防ぐため、天然繊維である髪でブイを作ることだった(フランス3)。また、つい最近では、モーリシャスの南東沖で7月25日、日本の貨物船「わかしお」が座礁し、約1000トンの燃料が海に流出した。現地では、現在も必死の回収作業が行われている。ロイター(8/10)は、海の汚染を何とか食い止めようと、多くの住民が自発的に髪を切ってオイルフェンスとなるブイを作る様子を報じている。

◆秘めたる髪の力
 上述のコワファー・ジュストを立ち上げたグラ氏によれば、現在美容院から出る廃棄物の50%はカットされた髪だという。「(髪は)これまでリサイクルの対象としては考慮されてこなかった」(コワファー・ジュストのサイト)が、生分解性であり、多くの用途が見込まれる天然素材である。たとえば、フランス3も、親油性以外に「ミネラルを含む天然肥料である(中略)。コンクリートや石膏を補強することもできる。また天然の強靭な繊維である」と、髪の特徴を挙げている。

 地球上のどこでも人がいるところで手に入る「髪」の秘めたる可能性。もっと注目されてもいいのではないだろうか。

Text by 冠ゆき