「数十年に一度」の大雨がなぜ毎年……地球温暖化のしくみから考える

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 今年も大きな水害が起こってしまった。「数十年に一度の大雨特別警報」が毎年のように発令される。この大災害がなぜ起こるのか、大きな問題であることを承知しながらも、半ば諦め気味に、地球温暖化、異常気象が原因と、他人事のように簡単に片づけてしまってはいないだろうか。

 地球上の水は、増えもせず減りもせず基本的に循環している。地球上の水の97%は海水、陸上にある淡水のうち約77%は雪氷水、約22%は地下水、湖沼水は約0.3%、河川水は0.003%だ。人間が利用できる水は降水(雨)で、その84%は海水から蒸発した水蒸気。水蒸気は、やがて雲となり雨となって、地表に降り注ぎ、バランスよく循環している。自然の摂理は見事だが、このバランスが地球温暖化により壊れている。海水の温度が上昇し、水蒸気の量が多くなれば降雨量が増えるのは当然だ。それでは、どうして地球温暖化になってしまったのか少し科学(化学)的に考えてみたい。

◆地球温暖化のメカニズム
 地球温暖化の原因は、大気中の二酸化炭素の増加だ。(二酸化炭素以外にも原因物質は存在するが、それらの物質についてはここでは割愛する。)

 では、なぜ二酸化炭素が増加すると地球温暖化になるのか。よく言われる温室効果だが、ただ単に屋根ができるからと、簡単には説明できない。これを理解するには、赤外線について知る必要がある。われわれは、いわゆる電磁波に囲まれて生活している。電磁波は、波長の長い方からラジオ波、マイクロ波(電子レンジの波長)、赤外線、可視光線(色の波長)、紫外線、X線と、波長が短くなっている。赤外線は、分子が長さを変えたり角度を変えたりする分子運動に関係する波長だ。二酸化炭素(CO2)は直線分子(O=C=O)で、地球表面からの赤外線を吸収し、180度の角度を変えたり、長くなったり短くなったり、そして赤外線を吐き出す分子運動をしている。吐き出された赤外線は、また地球表面に戻り、その繰り返しで逃げ場がなくなる。大気中の二酸化炭素の濃度が高まれば高まるほど、赤外線が地表に戻ってしまうので、地球は暖まる一方になる。これが、地球温暖化のメカニズムだ。

Text by 和田眞