罰金受けてもまた不法投棄 豪華クルーズ船が引き起こす環境汚染

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◆繰り返される不法投棄 2度の違反に罰金
 クルーズ船による海洋汚染も問題となっている。ダイヤモンド・プリンセス号を所有するプリンセス・クルーズを傘下に置くカーニバル・コーポレーションは、12万人を雇用し、10のクルーズ船ブランドを持つ最大手だ。年間約115万人の利用があり、世界のクルーズ船市場の半分を占めている。

 ところが、カーニバル社は意図的に油で汚染された廃棄物を海洋投棄し、それを隠蔽した罪で2017年に有罪判決を受け、米司法省から4000万ドル(約44億円)の支払いを命じられた。罰金を支払い、保護観察処分となったが、2019年にはプラスチック海洋投棄が発覚し、さらに2000万ドル(約22億円)の罰金支払いを命じられた。

 不法投棄は船舶による汚染防止のための国際条約であるマルポール条約違反だが、ほかの会社も普段から行っていると、クルーズ業界の専門家、ロス・クライン氏は指摘する。同氏のデータベースでは、メディアや公文書で報告された違反が記録されており、排せつ物や、浴室、洗濯場、調理場から出る未処理の汚水廃棄を含む多数の違反が見られるという(ビジネス・インサイダー誌)。

◆罰金では懲りない クルーズ船は確信犯か?
 クルーズ船の環境汚染は、小さな国々にとっても深刻だ。多くのクルーズ船が寄港するバハマでは、以前からクルーズ船からの不法投棄が確認されていたが、政府は効果的な防止策を打ち出せなかった。環境保護法が救世主になるはずだったが、それによる数百万ドルの罰金など、巨大企業にとっては、微々たるものだと地元の環境活動家のサム・ダンクーム氏はローカルメディアのアイウィットネス・ニュースに話す。ちなみに経済サイト『マーケット・ウォッチ』によれば、カーニバル社の2018年の収益は188億ドル(約2兆円)だった。

 最近ではノルウェージャン・クルーズラインが、バハマ領海に汚水を捨てたことを自主的にバハマ政府に報告してきたという。カーニバル社の違反事件の後でも業界は懲りておらず、罰金額を上げる、全船に検査官を派遣する、などの対策が必要だと環境保護団体から声が上がっている(アイウィットネス・ニュース)。

 前出のクライン氏は、アラスカを除いてはマルポール条約に基づく定期的、組織的な監視や執行は行われていないとし、クルーズ船会社の違反を見つける方法がないのが問題点だと指摘している(ビジネス・インサイダー誌)。

Text by 山川 真智子

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