アマゾンよりアフリカのほうが火災多発 NASAの火災マップにネット騒然

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◆山火事ではなかった 焼き畑は季節行事
 アフリカのコンゴ盆地に広がる熱帯雨林は、アマゾンに次ぐ世界第2位の「緑の肺」として知られ、コンゴ民主共和国、ガボン、コンゴ共和国、カメルーン、中央アフリカにまたがる330万平方キロメートルのエリアだ。アマゾンのように森や湿地が大量の二酸化炭素を吸収しており、気候変動と戦うカギとなる地域で、多くの絶滅危惧種も生息している。

 専門家たちによれば、NASAの地図で燃えているとされるのは、この熱帯雨林の外の木々がまばらに生えるサバンナ地域だという。実はアフリカでは、小規模農家による焼き畑農業が行われている。毎年乾季になると耕作の準備として茂みに火が放たれるが、火は熱帯雨林の手前で消火される。大規模に森林を焼き払い大豆畑に変えてしまうような南アメリカの農業とは違い、アフリカの焼き畑は人と自然が共生するものだと、南アフリカのウィッツ大学のサリー・アーチボルト教授は解説している(AP)。

◆あの国も関与? 開発が進めば森林破壊も
 もっとも、コンゴ盆地の熱帯雨林が安泰というわけではない。たとえば、コンゴ共和国では、人口の9%しか電気が行きわたっておらず、多くの人々が木を燃料としている。同国の大統領は、もしもこの国の水力発電の能力が改善しない場合、伐採による熱帯雨林の破壊があり得るとしている(AFP)。また、人口の増加により、居住地や耕作地が森側へ広がっている地域もあり、エコシステムの管理が必要とされている。

 NASAの科学者、ニールズ・アンデラ氏は、これまではインフラの整備不足、グローバル市場へのアクセスの欠如により大規模農業に発展することができず、南アメリカのような森林破壊が起きていないが、将来それが変わる可能性もあるとしている(AP)。

 カリフォルニア大学アーバイン校のジェームス・ランダーソン氏によると、世界的にサバンナや草原は農地に変わりつつあり、焼き畑も20年前に比べて25%も減ったという。アマゾンを変貌させた大規模農業による森林破壊の拡大はいまだアフリカでは起きていないが、東アジア、とくに中国がアフリカとの関係強化を望んでいるため、経済力で熱帯雨林のあり方を変えてしまう可能性もあると同氏は警鐘を鳴らしている(AP)。

Text by 山川 真智子