世界のプラごみが殺到、音を上げる東南アジア 中国輸入禁止のその後

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◆処理で環境に悪影響 違法業者も続々
 大量の廃プラを受け入れる国では、深刻な問題が起きている。マレーシアでは、何十もの廃棄物処理工場が建てられたが、その多くが操業許可を持たず、技術もない業者で、環境に有害な方法で処理を行っているという。リサイクルに向かないプラスチックは焼却され、有害な化学物質を大気中に放出する。埋め立てられる場合もあり、土壌や水源を汚染する可能性も指摘されている(ロイター)。

 マレーシアのズライダ住宅・地方政府相によれば、認可を受けた工場がさばききれない廃プラを無免許の下請け業者に回すケースもあるという。同相は、政府が摘発した無免許の業者には中国企業が多いことにも言及している(ロイター)。

 タイでも、大量の廃プラが地方の港やリサイクル工場を占領しており、新たに建設された工場からの煙や汚水への懸念から、住民の苦情が多発している。違法なリサイクル施設では外国人労働者が雇われ、低コストでゴミ処理が行われており、警察による手入れも国中に広がっているという(Eco-Business)。

◆住民も怒り 各国政府、輸入規制へ
 このような状況を危惧し、廃プラの輸入規制に乗り出す国が出ている。5月にはベトナムが一時的に廃プラの輸入を禁止し、その後、輸入業者への新規の免許発行も停止した。規制を強めていたタイも、2021年までにすべての廃プラの輸入を停止すると発表している。

 マレーシアも、廃プラ輸入の認可が3ヶ月間凍結されていたが、ついに10月26日から廃プラの輸入が禁止された。地元紙スターによれば、マレーシアが先進国のプラスチックゴミの廃棄場所になっているという内容がソーシャルメディアで拡散されたことが、この決定につながったということだ。

 シンガポール国立大学のシーラム・ラマクリシュナ教授は、日本も含め廃プラを輸出する豊かな国々は、自国での処理を拡充すべきだとEco-Businessに話す。さらに、受け入れを規制する国が出れば、その分が他のアジア諸国にシフトするだろうとも指摘しており、廃プラ問題は、複雑な国際的な問題であることを示唆している。

Text by 山川 真智子