尖閣×中国 海外の反応まとめ
東シナ海にある尖閣諸島周辺の領有権をめぐり、日中間の溝が深まっている。
アメリカを巻き込んで、世界に大きな影響を与えている尖閣諸島問題は、日本中国ともに解決の糸口をつかめないまま、混迷を深め続けている。
欧米メディアの中からは、今後日本と中国が取るべき行動として両者による譲歩も必要であろうという見解が出されている。
実際の日中間の現状に目を落としてみると、両者ともこれ以上の尖閣問題の悪化を望まない姿勢も各所に見ることができる。
しかし、一部のメディアからは、いつ日中間で戦争が起きてもおかしくない状況であるとの考えもあり、予断を許さない状況である。
以下、昨今の主要な海外の反応をまとめる。
1)英紙、A級戦犯分祀と尖閣の国際調停委任を主張 “雪解け遠い”日中両国に譲歩求める
英フィナンシャル・タイムズ紙は、今後日本と中国が取るべき行動として、尖閣問題では「国際調停に委ねるべきだ」と同紙は主張する。また、靖国問題では、分祀などの手段を用いて日本側が努力すべきだとしている。
しかし、尖閣問題、歴史認識問題共に両国の主張はこれまでと大きくは変わっていない。日中の「雪解け」と言うには程遠いというのも、各国メディアの共通した見方だ。
(日本の各メディアも、「どんな問題であれ、価値観の違いによる摩擦は避けられない」といった意見や、「来年は戦後70年の節目の年であり、中国では反日感情が高まる恐れがある」など、両国の間に横たわる溝は相変わらず深いという見方も示している。)
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2)尖閣紛争回避に一歩 日中「軍事ホットライン」構築へ…海外紙も歓迎
ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、「アメリカはしばしば、日米安保条約の当事国として、日中の紛争に巻き込まれるのを避けるために、両国に偶発的な事故や小さな判断ミスが衝突に結びつくことを防ぐ軍事的なホットラインを設ける必要があると指摘してきた」と記す。今回協議を再開した「海上連絡メカニズム」は、まさにこの「軍事的なホットライン」に当たると言えよう。
日中海洋協議では、両国関係機関のコミュニケーションの仕組み(「海上連絡メカニズム」)の構築は「最優先課題」だという点で、合意に達している(ブルームバーグ)。
(日中間において、偶発的な軍事衝突などを回避するための「海上連絡メカニズム」を構築する協議を再開することで合意したという記事。尖閣諸島の領有権争いを沈静化する第一歩との見方も強く、各国メディアがその行方に注目している。)
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3)「第三次大戦」は尖閣から始まる? 米国は日本を防衛するか…海外識者が疑問
シカゴ法科大学エリック・ポズナー教授は、『Slate』への寄稿で、もし第三次世界大戦が起こるとしたら、尖閣諸島をめぐる日中の対決が端緒となるだろう、と論じている。
では、もし尖閣で日中が衝突する時、実際に米軍は日本を防衛するのだろうか。米ヤングスタウン大学のポール・スラシック教授(国際関係学)は、外交ニュースサイト『ディプロマット』への寄稿で、疑問を呈している。
他国への武力行使を、大統領がどう主導するのか。同氏は、尖閣有事の際は、オバマ大統領は武力介入にあたって議会承認を求めるのではないか、と予測している。
(オバマ大統領は、4月の来日時に、尖閣諸島は日米安保条約の対象、と明言した。一方で、帰属については特定の立場をとらないとも確認している。元経済産業省の奥村準氏(明治大学国際総合研究所客員研究員)は、同サイトへの寄稿で、アメリカは必ずや日本を防衛する、と論じている。)
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4)中国船の領海侵入が減少…尖閣“現状維持”のメッセージか? 海外識者がねらいを分析
尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入する中国巡視船の出現頻度が、昨年10月以降、目立って減少しているという。ワシントン・ポスト(電子版)が報じている。
中国政治を専門とするマサチューセッツ工科大学(MIT)のテイラー・フラベル准教授と、ハーバード大学教授のアラステア・ジョンストン教授は、中国船の領海侵入の頻度が減ったことについて、尖閣問題を当面はこれ以上エスカレートさせたくないという、中国側のサインなのではないかという見方を提示している。
その一方で、中国当局やメディアによる“言葉の攻勢”は弱まる気配がない。
(中国の尖閣諸島海域でのパトロールの縮小と、メディアを通じた激しい日米批判の姿勢は、一見矛盾しているようにみえる。これについてディプロマット誌は、中国の指導者たちは、現実世界での対決から“言葉の戦争”に主眼を移したと見ている。)
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5)“米国頼み”の尖閣防衛に米識者が警鐘 中国の不意打ちを危惧
ナショナル・インタレスト誌のハリー・J・カジアニス氏は、ローウィ国際政策研究所が発表した「日中有事のシミュレーション」をもとに、日本と中国が戦争となった際アメリカはどうするか、についての分析と見解を表している。
同氏は、米国に頼り過ぎる日本の姿勢は危険性が高いと主張する一方で、米国の尖閣諸島をめぐる戦争への参加は、アジア地域の国際秩序を維持する目的において、十分に考えられるとしている。
しかしながら、アジアの同盟国は「アメリカに出来ることにも限界がある」ことを知っておくべき、と同氏は語る。そのような理解なくしては、自身が不意打ちを食らうかもしれない、との指摘をしている。
(尖閣諸島の領有権争いなど東シナ海をめぐり、日中が実際の戦争に発展する可能性を海外各紙が独自に検証していることを報じる記事。日中の裏に潜むアメリカの言動が、大きく注目されていることが伺いしれる。)
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6)中国の“尖閣攻撃”を、米軍幹部も警戒 琉球諸島南部の奪取も想定か
アメリカ海軍太平洋艦隊情報作戦局のジェームズ・ファネル大佐は、中国人民解放軍(PLA)による尖閣諸島、さらには琉球諸島南部の奪取が予想されるとの見方を示した。
元オーストラリア国防省高官の大学教授ヒュー・ホワイト氏は、“創造的な”外交で解決法を生み出さない限り、両国で戦争が起きても驚くことではない」と語ったと、インターナショナル・ビジネス・タイムズは報じた。
(インターナショナル・ビジネス・タイムズは、中国の政府寄り新聞『Weweipo』が、「今後50年で、中国は確実に6つの戦争をする」と報道し、2040年に東シナ海で戦争が始まると予想したことを報じている。)
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